忍者ブログ

VOCALOID小説サイト『黄昏の歌』の別館です。 健全な表と違い、こちらはBL・及びR指定腐向けです。 読んで気分を害されたなどのクレームはお受けできませんのでご了承ください。 閲覧は自己責任でお願いします

[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

平安朝でリンカーン
>平安BLもっと増えろよ…何がいいって言葉。現代なら「や、やめろ…ッ、ゆるしてっ…!」が平安BLだと「何をなさって…っぁ、…お許しくださっ、お許しを…ッ!」ってなるんだよ重ねた着物を心持ち乱した美青年がこれ言ってるところを想像してごらん!まじパッションがHAJIKESOUホモくださ

>こんな勇馬ください

のTLをあわび様から頂いたので、「じゃあ、もう勇馬総受けでいいジャマイカ」と相成りましてパッションでガリガリwww
まあ、ヘイアーンとセンゴクがBLの真骨頂だから仕方ない!!←
総受けならステップ付けてやった方がいいと思いまして、徐々にレベルアップする方向にしましたw
初回はソフトにキヨテルとカイトです。
【起きぬれば】
 
僕は、産まれた日を知りません。
思えば、あの日から僕の人生は始まったのだと思います。
 
人に愛されて、愛して、切ない程甘く、狂おしい程愛おしい、その思いを知った日から・・・。
 
 
「彼は誰ぞ(あの子は誰)?」
平安京の艮に位置する土御門殿は代々内裏の鬼門封じとして、陰陽師一族が住まうことになっている。
当代一の力を持ち、内裏の鬼門封じとして命ぜられていた陰陽師・氷川清照(キヨテル)の元へは毎日のように相談事を持ちかけてくる貴族が後を絶たない。
その日は貴族の名門、久利氏の海斗(カイト)が愛姫君の入内の日取りを相談しに来ていた。今上帝を始めとして、久利家は皇族の殆どと親戚関係に当たる。
今上である鏡音帝(レン)はまだ十四歳の元服を迎えたばかりの少年だが、海人とは年のあまり離れていない叔父と甥の関係だ。
血縁による出世を狙うコネクションは貴族政治に置いて珍しくない。清照も他の貴族から何度も請け負っている相談事であった。
相談の最中、客の為に白湯を勧めた稚児に海斗が思わず声を上げた。
鏡音帝より年上に見えるが、元服もまだ済ませていない青年だ。
だが、世慣れていないのかたどたどしい手つきや慎み深く申し出る様が水干姿にふさわしい。
清照はすぐには答えず、稚児に一言「下がりたまへ(下がりなさい)」と命じて、その場から下がらせると、周りを憚る声で話しはじめた。
「かわいそうな子ですよ。かなり前の話ですが、美月の変で唯一生き残ったのが、あの子だけでした」
「美月の乱・・・、じゃあ、あの山羽一族の・・・?」
海斗の問いに清照は重々しく頷く。
まだ久利家が当代一の貴族として名を馳せる前、それまで門閥貴族は山羽家と久利家で二分していた。両家は相手に負けじと摂関政治の主導権を握るべく、皇室に娘を送り込んだ。
事件が起こったのはまだ海斗が幼い頃、時の上皇に嫁いでいた美月(ミズキ)という山羽家の寵姫が原因だった。
当時の帝は美月を后に望んだが、久利家の血を引く帝は山羽家とはそりが合わず、山羽家としては美月を自分たちと縁続きでもあり、同じような権力を行使でき、美月を望んでいた上皇に差し上げたかった。
当然、この待遇に帝は怒りを覚えた。また、上皇も妃に迎えたにも関わらず、しつこく美月に恋文を贈り、あてつけのように自分に反発する帝が疎ましくなった。
こじれにこじれた関係は上皇側の挙兵で幕を開けた。結果は今上帝側の勝利で終わり、乱の原因となった山羽一族はほとんどが処刑され、上皇も死罪は免れたが出家させられ流刑となった。幸いにも命を救いだされ、再び帝の后に望まれた美月だが、自分が原因で引き起こした災禍の大きさに耐え切れず、毒を飲んで自害したのだという。
騒乱の最中、美月の生母に当たる女性が一人の男の子を産んだが、その子は生まれてすぐ重い疫病にかかったのだという。
「薬師や坊主の修法も駄目で、私の元に運び込まれたのがちょうど美月の変が起こった直後でした。幸い、命は取り留めたのですが、あの子の出自を考えるとあまり公にするわけにもいかなくて・・・。出家をさせようにも、あまり体が丈夫でないあの子に寺勤めができるとは思えなくて・・・、どうすることも・・・」
運び込まれた時、丈夫な子に育つよう清照は稚児に勇馬と名付けた。
陰陽師の命名の甲斐あってか、勇馬はこの年まで立派に成長したが、それでもやはり病にはかかりやすい。薬代が高い上に流行病が多い都で奉公先を探そうにもそうそう見つかるものではない。
争いごとを好まない優しい性分なだけに、身分や受領に雁字搦めの仏教界や政界に送り出すのは酷だ。
今までは陰陽師が連れている拠りまし(身代わり)として身の回りの世話をさせたりしていたが、これらは本当に幼い子ではないと融通が利かない。
それ以上大きくなると色子扱いと疑われかねない。
そう思われるのもやぶさかではないが、勇馬の容姿では冗談も通じない無いだろう。
下手に貴族の目に留まって手が付くのも困るし、最悪身の上がバレテしまう恐れもある。
心苦しそうに述べる清照にすっかり勇馬の身の上に同情していた海斗は迷わず口にした。
「清照、あの子を僕に引き取らせてくれないか?」
「正気ですか?あの子はいわば・・・」
「心配するのもわかるけど、僕だってまかり間違えばあの子と同じようになっていたかも知れないんだ。とても他人事とは思えないんだよ。気まぐれなんかじゃないし、あの子の秘密は隠し通すと約束する。だから、頼むよ」
海斗の申し出に驚いた清照だが、悪い話ではない。
海斗は今や貴族のトップ久利家の筆頭であり、彼に刃向ってくる命知らずは存在しないし、何より甥である鏡音帝のバックアップは強い。
上手くいけば任官されてそれ相応のポストにだってつけるかもしれないし、なにより彼の家は裕福で流行病も恐れることはない。
陰陽師といっても実力主義な世界で、なかなか食べていくのは難しいのだ。
それなら自分の元で肩身狭い思いをさせて育てるより、海人の元で伸び伸びと何不自由なく育ててもらうのが一番いいのかもしれない。
考えた末、吉日を選んで勇馬を海斗の元に遣わすことに決めたのだった。
 
「勇馬、おいで」
「はい」
数日後、海人の元に引き取られた勇馬は最初こそ、慣れない広い屋敷に戸惑っていたが、海人がこうして頻繁に相手をしてかまってやったり、手習い事を教えているうちに少しずつ慣れて年頃の青年らしい快活な笑顔を見せるようになった。
家の者には説明が難しかったが、昔の恋人の忘れ形見ということで何とか体裁を保った。
一番大変だったのが奥方の明子(メイコ)で勇馬にあまりいい顔をしなかったが、元々情の深い性分で勇馬の境遇を憐れに思ってくれたのと、勇馬が人懐こい性分だったのが幸いして、今では明子も勇馬を息子同然に可愛がっている。
利発な勇馬は海斗が教えたことはなんでもすぐに覚えてしまう。
全く吹けなかった笛も、今や宮廷一と言われた海人の腕前に並ぶほど上手になった。
「殿、そろそろお出ましの刻限にございます」
「そうか。じゃあ、そろそろ・・・」
愛人の元に出掛ける用意が整ったとの知らせに海斗が腰を上げると、それまで笛を奏でていた勇馬がその手を止めて、上目づかいで海斗を見つめる。
「もう、お出かけなのですか・・・?」
勇馬の所に来たのが、内裏から戻ってきて夕餉の刻を過ぎてからだからあまり長居はしていない。
心細さに自然と声が震えてしまう。
「寂しいの・・・?」
「・・・・・」
尋ね返すと、勇馬は下を向いて俯いてしまう。
海斗を困らせないようにと勤めているのだろう。
だが、気丈にまっすぐに引き結んだ口元と、睫毛で伏せた目元が全てを語っていた。
それなら、と、海人は勇馬の顔を掌で包み込みながら優しく言い聞かせる。
「勇馬の機嫌が直るまで、一緒に居てあげようか。帰りに市にも寄って、珍しい唐菓子もいくつか買って帰るよ。だから、安心してお休み」
「はい・・・」
引き寄せて優しく撫でさすりながら言い聞かせると、勇馬は嬉しそうに顔をほころばせる。
やがて、海人の腕の中で健やかな寝息をたてはじめた。
最近海斗も知ったことなのだが、勇馬は人前ではなかなかこうして落ち着いたくつろいだ姿を見せず、いつもかしこまっているそうだ。
自分だけにこうして甘えた姿を見せてくれると思うとたまらなく愛おしい。
腕の中の勇馬の温もりがこの上なく離れがたくて、去りがたい。
「殿、ご出立は・・・」
なかなか出てこない主に痺れを切らした従者が再び声をかけるが、海人にはすっかり出かける気分が失せていた。
出かけると約束した愛人が今、こうしているよりも至福の時間を与えてくれるとは到底思えない。
噛みしめるようにそっと勇馬の色の白い頬に口付る。
滑らかで張りのある勇馬の肌は愛人より格段に上だった。
「今日はもう行かないことにした」
「なんと・・・」
文まで出しておいてさっさと翻す変わり身の早さに従者も呆れるばかりだ。
だが、そのうちそれすら珍しく無くなって、日常茶飯事になっていくと慣れるものだから不思議なものである。
この傾向を喜んだのが奥方の明子で、勇馬を側に寄せて可愛がっていると、その日は絶対に海斗は余所へ出かけないことがわかって、前にもまして勇馬を可愛がるようになった。
逆に通いが間遠になった愛人の口さがない女房たちは、口々にこの事を噂にし始めた。
「最近海斗の君はお出ましにならなくなりましたわね」
「奥方様と元々仲睦まじいご夫婦でしたから、そちらにお心が移っているのでしょう」
「あら、違いますよ。これは明子様にお仕えしている私の姉から聞いたのですけどね・・・」
「東の対に麗人を迎えて住まわせているですって?よくまあ、大胆な事を・・・」
「しいっ!海斗の君はもちろん、明子様もお気に入りでしばしばご本人が呼び寄せになるらしいですよ」
「まあ、一体どんな姫君を迎えられたのでしょうか・・・」
噂を聞いた女たちはまだ見ぬ海斗の新しい寵愛を得たであろう姫君を夢想しては噂話を繰り返す。
まさかその寵愛を一身に受けているのが、年端の行かぬ元服前の青年だと夢にも思わなかった。

拍手[0回]

PR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
 管理人のみ閲覧
 
Copyright ©  -- 黄昏の歌、我が背子 --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Material by 妙の宴 / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]