VOCALOID小説サイト『黄昏の歌』の別館です。 健全な表と違い、こちらはBL・及びR指定腐向けです。 読んで気分を害されたなどのクレームはお受けできませんのでご了承ください。 閲覧は自己責任でお願いします
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例によってまた長くなったので続きます。
『ごめんなさい』と何度心の底から呟いたことだろう。
つぶやく度に同時に思い出すのは蝦夷で出会ったあの青年カイトマサインの姿と言葉だ。
『上辺だけ神の威を借りるのはとても失礼なことだ。いつか報いを受けるよ』
彼の言葉は正しかった。
もし、彼の言葉を真摯に受け止めて目先の快楽に飛びつかなかったら、彼の言葉を機にちゃんと他社を敬い尊重する気持ちを取り戻していたら真百合の忠告を聞き入れて素直に立ち去っていたことだろう。
少なくとも、こうして惨たらしく化生のものに餌食にされることは避けられたはずだ。
「ご、ごめんなさい・・・、許して・・・、なんでも、出すから・・・」
するとマジムンは鼻白んだように吐息をついた。
勇馬の顎を捉えて顔を自分のもとに引き寄せながら、もう片方の手で勇馬の胸板、ちょうど心臓の部分を撫で回す。
「なんでも、などと軽々しく口にするものではないな。世俗の垢にまみれた金子持ちの連中にはそう言う輩は珍しくはないが・・・。それなら、お前のマブイ(魂)と身体が欲しい、それ以外は何もいらん。そう言えばお前はくれるのか?」
さも面白そうにケタケタと笑うマジムンに勇馬は身体の芯から強張って動けなくなる錯覚を覚えた。
神は嘘を言わない。鬼も偽りは口にしない。それはきっとマジムンも同じことだろう。
心の底からの言葉と思えば余計に恐ろしさは募った。
「だが、そこまで怯えられてはせっかくの快楽も台無しだ。特別に情けを掛けてやろう・・・。ありがたく思え・・・」
マジムンの美麗な顔がすっと音もなく勇馬の首筋に伏せられた。
つうっと首筋を舐められ、吸われる感触に勇馬は震えながら耐えた。
「っ!!」
針で刺されたような鋭い痛みに勇馬はマジムンに噛まれた事を悟ったが、それは一瞬だった。
噛まれた、と思った途端にすぐ意識に靄がかったように混濁していく。
触れられている感触はあるのに冷たいとか痛いという刺激は感じない。むしろその感触はむず痒いところを掻いてもらっているような気持よさがあった。
蛇の唾液には神経毒の成分が多分に含まれていて、時として象も殺すことがある程強力なものだ。
マジムンの隠れたもう一つの武器がこの毒だ。極稀にふとした拍子に正体が露見しても、一度この毒をみまえば獲物は盛りのついた犬や猫の様にマジムンを求め、狂ったようにマジムンの交尾に歓喜の嬌声を上げた。
だが、この愚かな可愛い子は一息に貶してしまうのは面白くない。
サダーカー(霊能力者)生まれはそうそう簡単に毒牙に掛けることも出来ないし、清純な者が我が身を嘆きながら堕ちていくのはこの上ない愉悦だ。
意識は保ったまま、快楽を拾いやすい状態にした上での量を調節して毒を注ぎ込む。
勇馬の瞳から僅かながら光が失せたのを見とったマジムンはようやく牙を収めた。
試しに軽く爪で柔らかな乳首を摘み上げてみる。勇馬の表情に痛みを感じた様子は伺えない。しかし、先程尻穴攻めで散々果て尽くした可愛らしい花芯がわずかに頭をもたげていた。
「う、そ・・・、ぼく、なんで・・・」
痛いはずなのに痛くないばかりか、むしろ気持ちがいい。
一度は枯れ果てたと思った性欲がまたふつふつとマグマの様に沸き上がってくる。
それも、今まで感じたこともないくらい、女に対しても抱いたことのない情欲が溢れてとどまることを知らない。
マジムンの指が勇馬の後孔を僅かばかり広げる。
そんなことでさえ感じてしまう自分が情けなく悔しかった。
ざり、
「!?」
鋸が木を削ぐような音と、感じたことのない快楽に勇馬の目が見開いた。
震えながらも振り返ると、勇馬の後孔に宛てがわれていたのはマジムンの性器だった。
それも人間のものとは違う、竿は余すところなく痛そうな突起に覆われていた。それだけでも恐ろしいのに、それが双極、同じようなものが二つも付いている。
怯えて声も出せない勇馬にマジムンはうっそりと嘲笑った。
「初めてだろう?大和でも伝わっていたかも知れないが、我らは生殖能力が高い。人の子のように雄雌が一対一の番になることは当たり前ではなく、雄に対して雌が二になることも珍しくはない。同族の雌なら逸物は一つで十分だが、人の子相手には双方使う。何故か、わかるか?」
「そんな、わかるわけ・・・。!」
普通の子ならわかるはずもない蛇性の理だが、勇馬は生まれつき利発な子だった。
わかるはずないと一蹴しかけた勇馬の脳裏に蛇婿伝説が思い浮かぶ。
異類婚姻譚は狐や狸、鯉など色々数多くあるが、卵生の生き物と人の間に子が出来たのは蛇婿伝説のみだ。
それも蛇の子を堕ろす際、本来卵で産み落とされる蛇が娘の体内で孵った状態で流されたという。
蛇が狡猾とされる所以の話だが、もし本当なら特殊な神通力に近いものを持ち合わせていると考えて違いない。
そう考えると、一方は生殖のため、一方は種の垣根を越えて子を成すためと結論付ける事ができる。
そこまで思い至った勇馬の総身が震えた。
「ま、ま、ま、まさか・・・」
絶望で真っ青になる勇馬にマジムンは残忍な目を向けたまま、満面の笑みを浮かべた。
「よくわかったな。さあ、褒美だ。私の子種をくれてやろう」
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