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VOCALOID小説サイト『黄昏の歌』の別館です。 健全な表と違い、こちらはBL・及びR指定腐向けです。 読んで気分を害されたなどのクレームはお受けできませんのでご了承ください。 閲覧は自己責任でお願いします

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雛逃げ・・・、じゃない殿逃げ!!
一度聞いてみたい雛逃げであります。
イメージとしては帝とかやんごとない身分で衆道(BL)大好きな殿に見初められちゃって、必死こいて逃げる清廉な小姓系好青年勇馬な感じです。


でも、結局は・・・。
『薔薇万華鏡』
 
草木も眠る丑三つ時。
静寂に包まれた空間で、燭台の明かりに照らされて人影が浮かび上がる。
長い回廊に点々と道標のように置かれている灯りを頼りに、奥座敷から花魁のように華やかな影が滑るように回廊を走り抜ける。
燭台の灯りに照らし出されたその顔は若いが、着ているものに似合わぬ青年のものだった。
自身を見目麗しく飾り立てていた櫛や簪を振り捨て、長くたなびく様な着物の裾もたくし上げて、音もなく回廊を走り抜ける。
まだまだ回廊の先は深淵に包まれて見えない。
それでも、彼は一心不乱に、走り逃げ続けた。
 
 
離宮で静かに琵琶を奏でていた青年が、弦が切れたのを機にその手を止める。
紫色の丹を塗った爪先で先日新しく誂えたばかりの切れた弦をなぞると、その口元を緩ませた。
「・・・また逃げたのか。仕方のない子よ」
クスクスと笑いながら、その青年はその目に残酷な光を宿す。
軽く手を叩いて、人を呼ぶ。
すると、すぐさま側仕えの幼い稚児が彼の側に駆け寄った。
「お呼びでございますか?」
「琉斗(リュウト)、南殿外側から順に出入り口の錠を掛けよ。またあれが逃げだしたようだ」
「かしこまりました。楽歩上皇様」
琉斗と呼ばれた稚児はすぐにその場を退去して、命令を遂行に移す。
楽歩上皇と呼ばれた青年は抱えていた琵琶を部屋に戻すと、隣の部屋に移る。
雛の家のように色とりどりの錦で埋められ、櫛や簪の宝飾で溢れかえったその部屋は誰もいない。
「まだ、足りぬというか・・・。勇馬」
楽歩は踵を返すと、開け放してあった襖から回廊をゆっくりと、先程逃げ出した青年の後を追うように進む。
時は平安の末期、それまで全盛を奮っていた貴族たちからようやく皇族が院政という政治方法で脱却した時代だった。
貴族の強権を封じる為、政治力のある帝が早々に位を下りて、まだ政治も充分にできない子供を帝位に付ける。もちろん、子供に政治はできないから退位して上皇、法皇になった先の帝が実際に政治を行う。
彼、楽歩も幼いうちから父であった時の上皇に帝の位に据えられ、まだ二十歳を少しばかりすぎたほどであるのにも関わらず、退位させられ上皇となっていた。
父である法皇はまだ健在だし、実権は彼が掌握している。故に形だけの上皇である彼はこれといった権力も持たず、個人の離宮で隠居同然の生活を送っていた。
そんな折、宮中から宴の誘いが舞い込んできた。
元々、数多くいる皇子たちの中でも抜きんでて美しく、声も良く、楽器は堪能で博学な楽歩である。宴が催される際には必ず法皇直々のお召しがあった。
その日は、武士の出である山羽家の青年が初めて宮中への殿上を許された祝いの宴だった。
山羽家の御曹司、勇馬は貴族の子息にも負けない精悍な青年で、利発で声も良く、何より芯の強い凛とした気品は貴族にはない涼やかさだった。
在位中でも艶聞が引きも切らなかった楽歩がこの愛らしい程健気な青年を見過ごすはずがなかった。
法皇には劣るとはいえ、帝よりも権力を行使できる上皇だ。
嫌がる勇馬を無理やり引き留め、自らの離宮に連れ帰り、彼の為の部屋を誂えて、自分好みに飾り立てて寵愛した。
貴族の子息なら甘んじるどころかその立場をいいことに好き放題しそうなものだが、武士の出である勇馬は違った。
武士たる矜持が強く、一向に媚びようとせず頑なに楽歩を拒み続け、機会があれば自ら逃げようと企てた。勇馬が逃げ出したのもこれが一度ではない。
その都度、捕まえて躾けても勇馬の瞳から力が失われることはなかった。
気丈に耐え、隙あらば逃げる。
(何度逃げても同じことなのに・・・)
ゆったりと歩を進めながら、楽歩は着実に勇馬との距離を詰めていた。
 
「!!」
かなり先まで逃げた勇馬は不意に呼び掛けられたような気がして、来た道を振り返った。
走り抜けた廊下の先は闇に包まれて見えない。
だが、明らかに闇の向こうからしきりに「おいで」と呼ばれている気配を感じる。
ぞくりとした寒気を感じて勇馬は無理やり目を離すと更に先を急いだ。
ようやく内部を抜けて、離宮の端まで出られたようだ。
格子の窓の向こうからは傾きかけた月が見える。
かなり西に傾いている。日が昇るまで残る時間はあと僅かしかない。
滲んだ汗ではがれかけていた白粉を一気に拭うと、出口へと急ぐ。
ここからは南殿の九重門が一番外に逃げるのには近い。
急いで勇馬は九重門まで走って逃げた。
幸い、九重門は薄暗く、火影に隠れれば門を開けても気づかれはしない。
ところが・・・。
「あ、開かない・・・?」
内側から開けようとしているはずなのに、九重門はびくともしない。
閂も外してあるのに、九重門はぴったりと閉じられて僅かな隙間も開かなかった。
無理やり力技で開けようとしたら音を聞きつけられて見つかる。
仕方なく九重門は諦めて、今度は東殿の三櫛門へと向かった。
だが、向かう道中嫌な予感が勇馬のなかで渦巻いて仕方ない。
「まだたりぬのか?」そう言って笑う楽歩の声が耳にまとわりついているようだ。
恐ろしい予想を振り払いながら勇馬は先を急ぐ。
東殿の三櫛門にたどり着いた時、月はさらに傾きかけていた。
こちらもちゃんと思いつく限り、全ての錠や閂を外して開けようと試みる。
しかし、九重門と同じく、三櫛門もびくともしなかった。
「逃がさぬよ」
「っ!!」
耳元でそうささやかれたような気配に勇馬は弾かれたようにその場から駆け出した。
もうどこに逃げようが一緒だ。とにかくここから抜け出したい。
その焦りから、一番逃げやすく人目に付きにくかった場所から離れて、逆に離宮の奥へ奥へと追いやられていることに勇馬は気づけなかった。
出口を探して走って走って走り抜けた勇馬が行き着いた先は格子窓だけの出口がない部屋、行き止まりだった。
引き返そうと踵を返しかけた勇馬の首筋を、丹塗りの紫爪がなぞる。
覚えのある感触に振り返ることもできず、震える勇馬の耳に優しげながらも冷たい声音が響く。
「仕方のない子じゃ・・・。こちらへおいで・・・」
タン、と襖の閉まる音が勇馬の耳朶に遠く聞こえた。
 
縄状に絞った絹布が一糸まとわぬ勇馬の裸体を優しく傷つけず戒め、雁字搦めに戒められた布紐は振りほどかれないように布の端をそれぞれ天井や壁の至る所に下げられた金具に結ばれた。
まるで蜘蛛の巣に烏揚羽の蝶がかかったような、美しいが禍々しく、憐れだが淫靡な光景だった。
あられもない肢体を晒す勇馬を、楽歩は眩しげに目を細めて見つめる。
「まこと、そなたは懲りぬ子じゃ・・・。何度躾ても逃げるのであれば、こうするしかあるまい」
「・・・っつ!!」
憔悴しかけていた勇馬だが、気丈にも抜け出そうとしているのか、縛られてもなお暴れる。
だが、雁字搦めに縛られた以上、一方が緩んでも、片方がきつく戒めてしまうので結局は戒めが少しも緩むことはない。
逆に下手に暴れれば暴れるほど、余計に紐は絡まって拘束がきつくなる。
足掻けば足掻くほど、蟻地獄に陥っていくだけだった。
必死に逃れようとする様を楽歩は冷笑を浮かべながら悠然と見下ろす。
「まだ仕置きが足りぬというか?私はそなたの望むもの全てを与えてやるというのに、なぜ性懲りもなく逃げる?」
「・・・そんなこと、あなたの知ったことではありません」
あくまでも気丈に撥ね退ける勇馬に楽歩は眉を潜める。
「ならば、お前との追いかけっこも今宵でおわりにしてやろう」
そう言うと、楽歩は丸薬の入った袋と、見るからにグロテスクな男性器を模した張型を持ち出した。
それを目にした勇馬が息を飲む。
逃れようと身をよじるが、戒められている以上あまり思った以上に逃げられない。
背後に回った楽歩は勇馬の菊座を指で解しながら、言い聞かせるように告げる。
「唐の国から取り寄せた特別製の媚薬と、南蛮を経て手に入れた象牙なるもので作られた張型じゃ。我が国の鹿の角で作った張型よりも太く、見事な出来だ。これを今からそなたの中に埋めてやろう」
「ひっ!!」
想像を絶する内容に勇馬の瞳に絶望が滲む。
絶望を湛えたその瞳はどんな宝玉よりも美しい。
膨れ上がる弑逆心に菊座に触れる丹塗りの爪先に力がこもる。
幾度となく嬲られ、微かに収縮を繰り返す勇馬の菊座に鬼灯の実程の大きさの丸薬が宛がわれた。
「ひぐっ!!」
宛がわれたと思った瞬間、いきなりぐいと強く中に押し込められ、勇馬は喉を詰めた。
慣らされていなかった分抵抗もあったし、丸薬は意外に大きい。
更に次々に新しい丸薬を入れられるが、これらはほんの序の口に過ぎなかった。
最後の丸薬が勇馬の中に納められ、中では数個の丸薬が緩く蠢いているのがわかる。
その感触に気を取られていると、楽歩が最後に残っていた象牙の張型を既に丸薬で埋まっている菊座に押し込んだ。
「いやあああああああああ!!だ、だめだめだめ!!そんなの、入らな っあああ―――――――!!」
根元は太すぎるくらいだが、先は意外に細い象牙の張型は秘肉拡張にはもってこいの逸材だ。
先端さえ入ってしまえば、後は持ち主の好み次第。
楽歩は張型を一定の所まで差し込んでは引き、差し込んでは引きを繰り返して、徐々に埋められる場所を広げていく。
まるで本当に犯されているかのような性急な動きに勇馬は悲鳴を上げた。
「やめっ!やめてください!!そんなっ、そんなされたら・・・、丸薬がっ、つぶれちゃ・・・あっ!!」
勇馬の中で解れかけていた丸薬が張型に当たって粉々に砕けた。
打ち付けられる度により奥へ奥へと押し進んでいく張型は、一個のみに止まらず中に入っていた丸薬を打ち付ける度に砕いていく。
砕けた丸薬の破片が張型の動きに合わせて腸壁に擦りつけられる動きは快楽のツボを刺激されるような感触をもたらした。
腸壁に嫌というほど刷り込まれた丸薬の欠片はあっという間に溶けて、効果を発する。
丸薬の半分が潰された頃には、勇馬の乳首はツンと痛々しい程膨らんで、愛らしい花芯は既に先走りの蜜を零しはじめていた。
象牙の張型がようやく動きを止めた。
それは、張型全てが勇馬の中に納まり、中の丸薬が全て消化されたことを意味していた。
「うう・・・」
「おやおや・・・」
張型を埋めるのに集中していた楽歩は、勇馬の花芯がすっかり起ちあがっているのを見て、懐から帯紐を取り出すとそれで戒めた。
「ひぐっ!!」
「仕置きだ、少し我慢しなさい」
「そ、んな・・・おねがい・・・します・・・」
暴力的な責め苦にさすがの勇馬も息を漏らす。
それまで気丈に耐え続けていた涙が頬を伝って落ちた。
今まで脱走した時も、それなりの責め苦は与えて躾けたつもりだが、いつもこの捨て犬のような目に絆されて手加減をしてしまった。
今回もしかり、いたいけな勇馬の表情に楽歩の加虐心が揺らぎ始める。
だが、ここで許してしまっては前回の二の舞だ。
しばし考えた末、楽歩は何やら思いついたのか、おもむろに自身の衣帯を解いた。
前身頃が緩み、引き締まった胸板と既に滾りきった欲望が露わになった。
思わず顔を背けようとした勇馬の顎を捕えて、言い聞かせる。
「ならば、私が満足するまで奉仕をしなさい。上手にできたら許してやろう」
「や、そんな・・・無理・・・」
どくどくと脈打つ欲望に嫌悪感を覚えたのか、勇馬は必死に身を反らせて咥えようとしない。
じれったさに業を煮やした楽歩は勇馬の後ろ髪を掴むと、無理やり自らの怒張を口にねじ込んだ。
「んぐっ!!ふぐっ!!ぐぅぅっ!!」
「歯を立てるでないぞ。少しでも傷つけようものなら、その顎一瞬で外してやる」
「っつ!!」
本気とも冗談ともつかない恐ろしい言葉に勇馬は大人しく楽歩のものを咥えて奉仕を始めた。
これを中に埋められたことは幾度となくあるが、口で奉仕させられたのは初めてだ。
さっき、楽歩はしくじったら勇馬の顎を外すなどと言っていたが、規格外の彼のものを口に含むだけでもあまりの大きさに顎が悲鳴を上げ始めている。
もっと激しいことを要求されたら、間違いなく勇馬の顎は自然と外れてしまうだろう。
それでも、自然と体が悲鳴を上げるのではなく相手によって屈辱的な行為をされるのでは精神的に受ける負担が違う。
唇の端が切れかけて痛みを訴えても、男の強烈な雄の匂いにむせ返り吐き気をもよおしても、勇馬は懸命に耐えて奉仕を続けた。
「くっ・・・」
やがて、楽歩が小さく声を漏らした。
同時に、勇馬が咥えていた彼のものがどくりと脈を打って膨れ上がる。
思わず口から離そうとした勇馬に、声が降ってきた。
「飲み干せ。一滴たりとも零したら許さん」
「っ・・・、んんっ!!」
咥え直した途端、濁流のような精液が勇馬の喉奥に叩きつけられた。
あまりに強烈な匂いと青臭さに吐き出しそうになったが、必死にそれを堪える。
しかし、耐えている間も涙は留まることなく頬を伝った。
ようやく、楽歩が自身を引っ込めたおかげで、勇馬の口は解放された。
自由になった口で勇馬は無我夢中に酸素を貪った。
「上手にできたな。初めてにしては上出来だ、褒めてやろう」
「くっ、ひっく、も、もうやだ・・・、もう許して・・・、許してください・・・」
泣きじゃくりながら勇馬は懇願する。
体に取り込まれた媚薬のせいで、苦しみでしかなかった奉仕でさえ体が疼くような快感を呼び起こされてしまう。
このままでは気が狂ってしまいそうだ。
ようやく素直に詫びを入れた勇馬に楽歩はそっとその頬に手を差し伸べる。
「ならば・・・、私のものになると誓うか?」
上皇らしい威厳と気品で厳かに告げられ、勇馬は自然と体が締まる思いだった。
楽歩は美しい。
そして、逃げ出そうとしなければこの上なく優しく接してくれる。
労わるように優しく頬を撫でられ、勇馬が返事を返そうとした。
その時、勇馬の脳裏に過去の記憶が蘇った。
先日、都から離れ、木曽へと移り住んでいった幼馴染。
『桜の季節に、また会おう』
そう言って別れた唯一無二の親友。
彼の事を思い出した時、勇馬の頭は自然と横に振っていた。
「なん、だと・・・!?」
「ひっ!!」
戒められた花芯を手で握り締められて、勇馬は息を飲んだ。
楽歩はこの期に及んでまだ勇馬が自らを拒絶する理由がわからず、欲望をせき止められた花芯を乱暴に扱いた。
「何故私のものにならない!?何故私になびかない!?これほど愛していると言ってもなお、お前は足りぬというのか!?」
「いやっ、やめ、やだぁっ・・・」
泣きじゃくりながらも勇馬は首を横に振るのを止めない。
並みの男はもちろん、そこそこ反抗的なものでもここまでしたらいつ屈服してもおかしくない状況なのに、勇馬は頑として拒み続けた。
これ以上責め苦を用いると発狂するか、廃人同然になってしまう。
さすがにそれはためらわれた。
ふと、楽歩は勇馬の瞳に目を凝らす。
先程奉仕をさせた時とは違い、勇馬の目は光を取り戻し始めている。
短時間でこれほど早く理性を取り戻すとは、同時に、かつて手籠めにした女官が勇馬と同じ目をしていたことを思い出した。
途端に、楽歩の瞳が嫉妬の憎悪に染まる。
「恋人か・・・!!」
快楽に翻弄されながらも屈しないのは、既にいる愛する者への操立てのようなものだ。
相手が男か女か、どちらか知る術はないが、勇馬の心が自分以外の誰かに奪われていることは楽歩にとって激しい屈辱でしかない。
膨れ上がる怒りと嫉妬は留まることを知らなかった。
「私が欲するのはそなたの全てよ・・・。他の者になどくれてやるものか!!」
そう言うが、楽歩は剃刀を取り出すとその刃先を勇馬の花芯の下、まだ僅かながら豊かな翳に向けた。
さすがに何をする気かわかった勇馬の体が震える。
「やめっ!!やめてください!!」
「動くな。下手に暴れるといらぬ傷をつけることになるぞ」
「・・・ひどい。こんな、こんな・・・」
冷たく鋭利な刃物で恥ずかしい陰部の翳を剃られる音だけが耳について離れない。
ものの数分後、勇馬の菊座から花芯のふもとにかけて茂っていた翳は綺麗に剃り落され、むき出しの秘肉と恥丘が露わになった。
手が自由になれば真っ先に股間を覆い隠していただろう。
あまりに恥ずかしい姿を楽歩に見られているというだけでも頭が沸騰してしまいそうになるくらい恥ずかしかった。
「これで、そなたの想い人に裸体を晒すこともできまい。しかし、むき出しの性器を曝してなおそなたは美しいのだな・・・」
「・・・。 あっ!!」
恥ずかしさにそっぽを向いた一瞬、楽歩の手が勇馬の菊座を埋めていた張型と花芯を戒めていた帯紐を解き放つ。
前後を責め立てられていた二つを外されて、大きく息をついた勇馬だが、安堵の表情が絶望の色に変わる。
張型から解放された菊座に宛がわれたのは、熱く硬さを持った男のそれだった。
「あ・・・、いや・・・、いや・・・」
「そなたは、私だけのものだ・・・」
「やだっ、やめて・・・!!あっ――――――――――――――――――!!」
腰を掴まれ、一息で串刺しにされた勇馬から絶叫が迸った。
同時に一瞬で全身を駆け巡った快楽は、出口を求めて噴き上がる。
「あああっ―――――――――――――――!!」
痛々しい程反り返った花芯からせき止められていた精液が勢いよく迸って、勇馬の胸や顔を白く汚す。
それでも、せき止められ続けていた精液は留まることなく噴き上がり続けて勇馬を白く染め上げていく。
「やだっ、やだやだっ、出るっ!出ちゃう、出したくないのに止まらないよぉ!!」
「ククク・・・、すっかりいやらしい体になったな勇馬。最早、愛する者の元に戻ったとて、並みの快楽では満足できまい。ほら、はしたなく蜜を噴き上げるその姿、私に良く見せろ・・・」
「いやあぁぁっ!!見ないで!!見ないでぇっ!!」
懇願しても楽歩は聞き入れない。
気が狂いそうな快楽と羞恥に翻弄されながら、最後の夜は静かに明けていく。
 
翌日、勇馬は絹布で雁字搦めのまま、快楽の残滓が躰の至るところに残された状態で横たわっていた。
夜が明けて明るくなると、勇馬が今いる場所は、閉じ込められていた部屋の壁を挟んで反対側だったことが分かった。
勇馬の必死の足掻きさえ、楽歩上皇の前では手のひらで転がされていたようなものだったと知って、勇馬の心は深い虚無感に包まれた。
ぼんやりと力なく宙を煽ぐ勇馬の脳裏に昨夜の行為が呼び覚まされる。
はしたない体に成り下がった自分を、彼はまだ求めてくれるだろうか。
 
「ピコ・・・」
 
人知れず呟いた名前と共に、勇馬の目から一筋の涙が伝った。

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