VOCALOID小説サイト『黄昏の歌』の別館です。 健全な表と違い、こちらはBL・及びR指定腐向けです。 読んで気分を害されたなどのクレームはお受けできませんのでご了承ください。 閲覧は自己責任でお願いします
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冒頭だけのはずが、案外アイヌの兄さんが好評だったのでキーパーソンに大出世しました。
「うぐ・・・、あ・・・、あ・・・、」
日も差さない薄暗く湿ったイベガマの深くで、勇馬は薄れゆく理性を振り絞って現状を思い返す。
あれから間もなく、10日。
勇馬が乗ってきた船は今日、大和、京都に向けて出発するはずだった。
出発の時間になっても現れない勇馬を心配して探しているのではないだろうか。
それに勇馬が出会った真百合ノロ、彼女もマジムン退治に行った勇馬がいなくなったのに気づいてマジムン退治をしてくれるのではないかと期待していた。
彼女にそれだけの力はなくても、彼女が仲間にその報告をしてくれるのではないかと期待していた。
いや、おそらく金と望郷の念に駆られた彼らに勇馬一人を心配する者は一人もいないだろう。
そして、真百合ノロの忠告を無視し、マジムンに挑んだ罰当たりな大和男子を真百合ノロが助けてくれるはずがなかった。
『感謝の心を忘れてはいけないよ』
去り際に挨拶してくれたカイトマサインの言葉が懐かしく温かかったのを思い出す。
あれほど縁もゆかりもない自分に優しい言葉を掛けてくれたのに、煩わしいと思ってしまったことが悔やんでも悔やみきれない。
優しいアイヌの青年の誠意を無下にしたことが申し訳なかった。
(ごめんなさい・・・)
「んあっ!」
そんな清らかな思考を塗りつぶすように、強烈な快楽が勇馬の身にはしる。
産気づいた女性の様に息を詰めると、勇馬の後孔からつるりと細長い球状のものが粘液を引いて出た。
「いやだああああああああああーーーーーーーーーーー!!」
アカマター御嶽での勇馬の悲鳴は誰の耳にも届かなかった。
泣き叫ぶ勇馬の慟哭はそれ一度きり。
それを最後にマジムンの性器が勇馬のなかを貫いた。
「ひぎっ!!んあっ、やっ、はっ、はっ・・・、ぁん」
鋸のように中を抉られる生殖は未知の快楽を勇馬にもたらした。
今まで知らなかった性感帯を強く掻き出されているような気がして、いいようのない快感に翻弄され続けた。
中を貫いたまま、マジムンはその柔軟性で勇馬の身体にむしゃぶりつくように絡みついた。
全身で締め付けられるように抱きしめられているような形になると、より密着度は増して中の快楽は大きくなる。
「ひあっ!だめっ!!もうイッちゃう!!」
「ククク、いいぞ好きなだけイケばいい。吐き出したお前の精の代わりに私の精をその身に注いでやろう。その精は私が飲み干してやる。ありがたく思え」
「あっ、あっあああ!アッーーーーーーーーーー!!」
勇馬が一声甲高く啼いたと同時に樹液を吹き出した。
マジムンは言葉に違わず、勇馬の精を飲み干すと勇馬の胎内めがけて己の精を放った。
しかし、蛇は精を放ってもそれで終わらない。
己が心ゆくまま堪能するまで蛇は生殖をやめず、場合によっては丸一日以上かけて行うことも珍しくない。
マジムンもやはり一度きりで勇馬を開放すること無く、すぐさま元通りに勃ち上がった逸物で再び犯し始めた。
「ひっ、うそ、なんで・・・、んあぁっ!!」
より深くを抉られる感触に勇馬は喉を仰け反らせた。
しかも快楽は先程よりも更に大きい。
抉られれば抉られるだけ理性や思考力が削がれていくようだった。
「あ、あ、あ・・・、う、あ・・・」
吐き出された精で腹が膨れ上がるほどになっても行為はまだ終わらない。
さすがに日の光が上がり始める刻限になると、マジムンは勇馬を抱いたまま蛇のように草地を這って移動し始めた。
琉球の直射日光は厳しく容赦無い。
温暖な気候は好む蛇でも、炎天下の直射日光の下では半日ももたない為、鬱蒼とした日の届かない湿った草地に身を潜めている。
マジムンは勇馬を崖の合間に出来たイベガマに引きずり込んだ。
イベガマの中は昼夜を問わず真っ暗で湿っぽい。
時折岩の合間から吹き込んでくる風が外の熱気を運んでくる。
マジムンがアカマター御嶽に封じられるまでこよなく愛した住処だったが、未だ健在だった。
人が踏み入る事ができないこのイベガマは彼の絶好の隠れ家であり、そして営巣地でもあった。
「・・・・・」
勇馬は自分がどこに連れ込まれたかも知らず、うつろな目でぼんやりと虚空を見ていた。
今はあらかた精を絞り尽くしてマブイ(魂)を半分やってしまっている状態だが、まだわずかにその力は残っている。
残りはこれから、まさに今から必要とするものだった。
マジムンは勇馬を貫いていた陰茎を抜き取ると、代わりに今まで使っていなかったもう一方の陰茎を宛がう。
この陰茎を最後に使ったのはかつて安謝湊で流れた子たちを孕ませた時以来だ。
「ここまで辿り着くに長かったことよ・・・。だが、ようやく悲願は果たされる」
「・・・・・ぁ」
新たに打ち込まれた楔に勇馬がビクリと震える。
生き物の様にどくりどくりと脈打つ陰茎は何かを勇馬の中に注ぎ込んでいるように見える。
だが、膨れ上がった腹はそれ以上は膨らまない。
全てがわかったのは、全てを注ぎ込まれて気を失った勇馬が再び目覚めた後だった。
「ふっ、ああああああ!!」
先日の記憶は産卵の快楽によって再び今に引き戻される。
目を覚ましてから一日に6個近く、多い日には10を越す卵が勇馬の後孔から産み落とされた。
マジムンに犯される前に勇馬が思い至った通り、二つの陰茎によって注がれた精と勇馬から奪った精によってマジムンは勇馬の胎内に卵を産みつけたのだ。
勇馬の霊力と魂を依代として産み落とされる卵はその代償として勇馬の魂と自我を削っていく。
マジムンは産卵の間は子を殺すことがないよう、産み終えるまで戻らない。
『案ずるな、雛が全て孵って腹が開いた頃を見計らってまたいくらでも孕ませてやる』
去り際にマジムンが吐いた言葉に絶望しか覚えなかったが、帰ってくる日を心待ちしている自分が悲しい。
「ひっ、ああっ!!」
また一つ、新しい卵が産み落とされる。
戻ってきてくれる事を悲しいと思う事もおかしな話だ。
「ああああっ!!」
また一つ、産まれ落ちる。
金では得られない快楽をマジムンは自分に与えてくれた。
かつての仲間は飢えても見向きもしてくれなかったのに、彼はちゃんと自分を思いやってくれる。
「はあんっ!!」
また一つ・・・。
ああ、早くまた抱いて欲しい。もっと今度は今回以上にたくさん孕ませて欲しい。
「ふぅっん・・・、は、は、あはは・・・」
イベガマの床一面に産み落とされた卵を前に、勇馬は淫靡な笑みを浮かべて微笑った。
暖かい琉球とは真逆の北の蝦夷地は間もなく氷雪季に差し掛かろうという頃だった。
箱舘からクンネップ、ノポロペツのコタンを経由してサポロペツのコタン(集落)に帰り着いたカイトマサインはフチ(囲炉裏)を皆で囲んで交易での話を話して聞かせた。
子どもたちは村のエカシ(長老)や大人たちが聞かせてくれるお話やウエペケレ(伝承話)が大好きだ。その日も皆カイトマサインが会ったというシャモ(和人)の話に耳を傾けていた。
話し終えるとまだ嫁入り前の娘であるミクサヲツが言った。
「シャモはどうしてなんでも必要以上に欲しがるの?分を過ぎた力は災いになるから身の程をわきまえなさいって子供の頃から聞かされているのに」
ウエペケレは昔の話だが、最後に必ず話を踏まえた上での教訓が述べられるためアイヌの躾の一貫でもある。
ミクサヲツの疑問はカイトマサインにとっても長年の疑問だった。
カイトマサインも何度も和人と交易を交わしていたが、どうしてもアイヌである自分たちと和人は考えが合わずいつも不思議に思っていた。ようやく今回、話を聞けそうな若いトゥスクル(神官)を相手に色々と話を聞けたのだが、その内容はカイトマサインも驚くようなことばかりだった。
そして、はっきりしたことが一つある。
「シャモには金子というものがあるんだ。シャモはそれを使って欲しいものを手に入れる。金子があったらなんでも手に入るから金子を多く持っているものが偉いということになっているんだよ」
「金子?それがあればお腹いっぱい食べられて、病気もせずに、ケムラム(妖怪、邪神)も来ないで長く幸せに生きられるの?」
「食べ物は金子が欲しい人から手に入れることはできる。でも貰えるのは金子の量に見合った限られた食糧だけであって、病気もケムラムも払えないし、長く生きられるわけではない。それはカムイ(神)に祈るしかない」
物持ちになって豊かに長く健康で幸せに暮らしたいというのは太古の昔から続く人間永遠の望みだ。
アイヌでは狩りの腕がいい男が獲物をたくさん捕って豊かになれる。しかし、金子は腕がないものでもその価値と引き換えに豊かにしてくれる。
金子は腐らないからそれを他の人に分けなくても困らない。
だから和人は皆金子をたくさん得ることを一番に考えて、自分だけが豊かになることを一番に考えて他人のことを考えようとしなかった。
カイトマサインが会った勇馬という若いトゥスクルも金子の力に目が眩んでいた。
カムイへの感謝を忘れ、カムイの威を借りて好き放題勝手放題していた彼にカイトマサインは忠告した。
ゆめゆめ感謝の心を忘れるなと、カムイの力によって生かされているアイヌ(人間)はカムイの前では果てしなく無力だ。
疫病や災いのケムラム(魔性のもの、化物)がやってきたらコタン(集落)一つ縊り殺されてもおかしくない。
彼は若く美しく、そして澄んだ魂を持っていた。そうした者はカムイにも好かれるが、ケムラムも惹き寄せる。
カイトマサインはそんな彼が心配でならなかった。
「だからね、メノコ(女の子、娘)よ。どんな時でも感謝の心は忘れてはいけないよ。いくら自分が豊かになっても、それはカムイに与えてもらったものであったり、人から与えてもらったものであるのだからね」
一人のアイヌが娘にそう言って聞かせましたとさ。