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VOCALOID小説サイト『黄昏の歌』の別館です。 健全な表と違い、こちらはBL・及びR指定腐向けです。 読んで気分を害されたなどのクレームはお受けできませんのでご了承ください。 閲覧は自己責任でお願いします

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ナマモノに付き、要注意
某年始番組の影響です。
父上と某俳優さんネタです。

*公式とは一切関係ないのでよそには絶対に漏らさないで下さい!!
製造社・販売会社・事務所とは関係ございませんのでご了承ください。
また、二次創作・同人などに嫌悪感をもたれる方、荒らし目的の方もご遠慮願います。
無断転用・転載・盗作はお断りします。転用・転載の場合はご連絡いただけますと嬉しいです。

【芸能格差社会】
 
収録終了後、先ほど見事に分けられた普段の生活の違いは如実にその後の空気に影響を及ぼしていた。
これが本当の格の違いというものなのだろう。
若手チームとして参戦した結果はパートナー共に頑張ったものの、結果として2ランク落ち。どこかの親子のように全問不正解で消えずに済んだだけありがたいが、もうちょっとできると心のどこかで自信があった分、この結果は悔しかった。
「くっそ~」
「ごめん、あの映像テストで私が間違っちゃったから・・・」
「あ、大丈夫。俺も同じ事気になってたし、俺も最初ので間違ったから・・・」
真面目で頑張り屋さんなパートナーは答えが分かれた状態で、自分が粘って間違えた結果に責任を感じているらしい。
そもそもあんなボーイズラブの映像なんて・・・、巷の若い女の子はどうか知らないが、その手の免疫が無さそうな彼女にはえげつない映像だった。
その点で言えば、幸い自分はそういったドラマや作品の出演は今のところ無いが、他の俳優仲間が出演している映画やドラマ、先輩後輩同士でいちゃついてるところを見て多少免疫が付いていたのが幸いした。
フォローに慰められたのか、落ち込んだ様子だった彼女もいつもの可愛らしい笑顔を見せる。その表情に自分の頬もほっと緩んだ。
 
「優しいね、撤平は・・・」
 
その場に落ち着いた深みのある低い声が掛かる。
その声の主が今回の番組の最優秀記録保持者で、それが自分にかけられたものであると頭が理解するのにしばし時間を要した。
「わ、わわ、が、ガクトさん!!」
「そう畏まらなくたっていいじゃない。一言挨拶してから帰ろうと思ってさ、KYちゃんもお疲れ様」
驚く撤平をよそに、ガクトは撤平のパートナーKYとも握手を交わす。
全問パーフェクトで回答した名実ともにカリスマとは思えない細やかな心配りに撤平は虚を突かれた気分だ。周りを見渡して見るが、ここに集められている著名人は普段撤兵でもおいそれとは声もかけられないような人たちばかり。
さっきまでことごとく不正解を連発しながら、もういつものバラエティで見かける大御所ぶりを発揮している大女優や番長にもそんな対応をしてくれている人はいない。
ガクトは撤兵にも手を差し伸べた。
「お疲れ様」
「あ、は、はい!!」
普段テレビで見かける俺様ぶりや取っつきにくさからは結びもつかない対応をされて思わず上ずった声が出てしまう。その慌てぶりがおかしかったのか、ガクトは口元をほころばせた。
「そんなに固くならなくてもいいじゃない。さっきボクと平気でハイタッチしてたんだし」
「いや、あれはもう当たってたって確信して嬉しくて!!だって、ガクトさん来た途端に「勝ったー!!」って思いましたもん!!もうガクトさん来てくれたってだけで嬉しくって嬉しくって!!」
「あははははは、撤兵ってワンコっぽいね。うちの犬と全く同じ反応してるよ」
「あ、よく言われます!」
コンビ仲間や出演した番組の司会者にも必ずは言われるフレーズだ。
思うに自分は結構単純なのだろう。結構自分でも人懐こい方だと思ってるし、それで皆から好かれるならそれもいいと思う。
「ガクト、そろそろ・・・」
今回ガクトのパートナーだったまさとが遠慮がちに声をかける。
気が付かず引き止めていた形になっていたことに気がついた撤兵は慌てて頭を下げた。
「あ、すいません。俺、引き止めちゃったみたいで・・・」
「いや、気にしないでいいよ。これからまさとと久しぶりに飲みに行こうかって話しててさ・・・。良かったら撤兵とKYちゃんも来る?」
「えっ!?いいんですか!!うわあっ、俺おじゃましちゃおうかな!!」
接点が薄いからこんな機会は滅多にない。
どんなところに連れて行ってもらえるのか興味もあった撤兵は二言返事ですぐさま誘いに乗った。
パートナーのKYも行きたそうにしていたが、このあと別の番組の収録が控えているので行けないのだという。
「じゃあ、行こうか・・・」
「は、はいっ!!」
興奮して自分でも気分が高揚しているのがはっきりと分かる。
足早に駐車場へ向かっていくガクトとまさとの後を慌てて追いかけた。
 
「・・・・・」
ガクトに連れてこられた先のレストランに撤兵は開いた口が塞がらない。
「さあ、入ろうか」となんでもないように先導するガクトとまさとは至って当たり前のようにしているが、連れてこられた先はミシュラン・ガイドの二つ星の超高級フレンチレストラン。
先ほど番組で紹介されていた料亭よりもランクははるかに上だ。
入り口で立ち尽くす撤兵にガクトは笑って手を引く。
「もう、何ぼーっとしちゃってるの」
「だって、ここさっきやってたところよりも上のところじゃないですか!!俺、こんなところ入った事無いですよ!!」
「じゃあ、いいじゃない。一口だけなんて満足できないでしょ」
「確かに腹は減ってるけど・・・、まさとさん!!」
助けを求めるようにまさとにすがるが、まさとも至って澄ましている。
「あ、俺は前にガッちゃんに連れてきてもらったことあるし、俺も他のメンツと来たことあるから平気。ここのステーキウマイから気に入ってるんだよ」
「ええーーーーーーーーーーーーー!?」
普段入れないような名店を何かの折に使うと聞かされて驚くしかない。
さっきも司会の濱田が別格だのすごすぎるだの言っていたが確かに文字通りこの2人は別格だった。
だが、ここまでは序の口に過ぎなかった。
出てきた料理は全て厳選素材を用いたプロの料理人による芸術品のようなものばかり、お酒一つでも先ほどの味覚チェックに用いられたものをはるかに上回る高級品ばかりだ。
それだけでもすごいのに食事をしている間の会話も撤兵の度肝を抜くのに十分だった。
「あ、このソース前と違ってる・・・。ガッツリいけるけどめっちゃ香りイイ」
「ローズマリーじゃない?いいよね、臭みも取れてるし、肉の旨味も十分に引き出してさ・・・」
(会話からして本当に違うんだ・・・)
二人の会話を聞きながら今更ながらに感心してしまう。
さっきのチェックでも尤もらしいことを言いながら外している人達、もちろん自分も外しているので偉そうなことは言えないが、今までこんな風に自分が口にしているもの目にしているものに深く意識を払って接することなどなかったように思う。
特に驚くのはガクトの博学ぶりだ。
一つ会話の題材が出たら、それについて十の豆知識やうんちくが口をついて出る。それも全てシェフが認める通り正解なのだ。撤兵が少しも知らなかったことが次から次へとなんでもないようにポンポン飛び出してくる。
それでも、話の内容が理解できるのは説明の仕方が上手だからだろう。
収録中のチェックでもガクトの説明は他の出演者とは群を抜いて説得力があった。
(なんかもう・・・、かっこよすぎ・・・)
緊張感から開放され、美食と美酒に酔って、目の前の本物の一流の男性を前に陶酔して、もう頭があまり回らない。
いろいろ表現したい言葉もあるし、会話も面白いから付いて行きたいのに、視界がぼやけていくのは仕方なかった。
 
「・・・ん?撤兵くん、なんか眠そうじゃない?」
だいぶ酒が回って顔が赤くなっていたまさとが撤兵の様子に気がついて声を上げる。
ガクトも振り返って確認すると、元々酒もあまり強くなかったのかまさと以上に顔を赤く染めて半分船を漕いでいる状態だった。
目の前に置かれているデザートは半分口を付けているが、スプーンは皿の上に置いたままだ。甘いモノは好きだと言っていたのに食べかけ状態、どうやら本格的に体力の限界らしい。
「もう限界っぽいね。・・・すみません、プライベートルームお願いします」
一流料亭等、格式の高い店では客のプライバシーを守ってくれる個室のような部屋が存在する。
まさとはまだまだ飲む気マンマンのようだし、自分もまだまだ飲み足りないが疲れきっている撤兵に付き合わせるのは酷だ。
自分よりも一回り以上小さい撤兵の体を抱え上げて、用意されたプライベートルームに向かう。幸いシェフとまさとは馴染み深い。ガクトが席を外しても料理とワイン談義で会話は続いていた。
用意してもらったプライベートルームはソファにゆっくりもたれながら食事と夜景を楽しめるように配置されていた。
テーブルとソファの配置が自宅のロビーに似ているなと思いつつ、撤兵をソファの上に下ろす。自分だと頭か足が肘掛けに乗り上げてはみ出てしまう長さのソファだったが、小柄な撤兵にはベッド代わりとして充分だった。
ソファの布地の感触が気持ちよかったのか、夢現状態で撤兵が頬をソファにすり寄せる。
同時に髪の毛の一部が口元にかかって、寝ぼけて口にくわえてしまった。
子供のような無邪気な寝入りっぷりにガクトの口から微笑が溢れる。
口にくわえた髪を引っ張って外しながら、鬱陶しく顔にかかる髪も撫で付けて後ろに流してやる。色の白い頬が髪の間から顕になった。酔って薄く桜色になっているのがまた可愛らしい。
「・・・・・」
今一度そっと撫で付ける。
わずかに触れた頬の感触も滑らかでハリのある綺麗な肌をしていた。手を離すのが正直名残惜しくなってしまう。
すると、触れていた感触に気がついたのか、撤兵がうっすらと薄く眼を開いた。
「ぅん・・・?ガ、クトさん・・・?」
「寝てていいよ。ここプライベートルームだし、食べかけのデザートは後で運んでもらうように頼んでおくから・・・」
「ぁ、すいませ・・・、ん」
起き上がって礼を言おうとしたが、それはガクトの手によって止められる。
起き上がらないように額に添えられた手は細くて綺麗なのに、見た目以上に力がある。それよりも、触れられる手の温かさが気持ち良かった。
「気にしないで。疲れてるのに付きあわせてごめんね。ちゃんと家まで送ってあげるからゆっくり休んでて」
「・・・優しいですねぇ、ガクトさん」
「そんなことないよ。ボクはトリプルエスだし」
「いや、俺、もっと、とっつきづらくて、近寄りがたい人だとばっかり思ってたんですよ・・・」
寝ぼけているのと少し酔っているのも手伝ってか撤兵は饒舌だった。
いろいろとゴシップ記事でまことしやかに叩かれたり、いろいろとバラエティにも出てきたりもしているが、やはりミステリアスな印象が強い。
だから、こんなに優しく気を回してくれるいい人だったなんて想像もしていなかった。
「なんか俺、ガクトさんのこと好きになっちゃいそうです・・・」
「そんな事言っていいの?そこまで言われるとボクも本気にしちゃうよ」
もし、普通の状態ならこの手に業界の社交辞令でうまく冗談で流していたことだろう。
今回、仕事で距離が少し縮まったこと、印象が変わったこと、酔いと眠気でふつうの状態ではなかったことが大きく作用した。
撤兵はふわりと愛らしい顔に満面の笑みを浮かべる。
「嬉しいです。だって、ガクトさんカッコイイし、俺、尊敬しちゃいましたから」
「・・・ホント、可愛いこと言ってくれるよね」
ガクトの唇が撤兵のふっくらとした唇に触れる。
キスにおいては百戦錬磨の彼にとってどういうキスが相手に一番適しているのか経験上知り尽くしている。
最初はなれない感触に肩を震わせていた撤兵だが、徐々にガクトにされるがままになっていってしまう。
唇を離すと彼らしくない、熱っぽい吐息が口から吐いてでた。
すっかりトロットロになった撤兵にガクトは口元を緩ませる。
だが、その笑みはスタジオや彼の目の前で見せていた微笑ではなく、もっと見るものをゾッとさせるような何かを含んだ笑みだった。
ガクトの手が自分の首にかけていたペンダントに伸びる。
チェーンの長いそれを撤兵の細い首元にチョーカーのように二重にして巻きつけて金具を止めた。
まるで子犬の首輪のように下がったペンダントを指で弄ぶ。
 
「それじゃ、`調教(しつけ)‘てあげようか・・・」
 
「ふぁ・・・、ん・・・、ガクトさ・・・」
滝の流れる音に混じって撤兵の甘い声が聞こえる。
ガクトの自宅のベッドルームには加湿器代わりの滝が据えられている。
衣服をすべて脱ぎ払った撤兵の首にはガクトがしていたペンダントがかけられていたままだ。
レストランを出た後、まさとを途中で家まで送り届けてすぐ、ガクトの家に連れて来られて今に至る。
ガクトの指は撤兵の首元のペンダントを弄んだままだ。あまり引っ張られると鎖が肌に食い込んで少し痛い。
ベッドに足を投げ出したガクトは指に引っ掛けたペンダントを自分の方に引いた。
「ほら、撤兵おいで・・・。ここにおいで・・・」
「んっ・・・」
否が応にも従わされるサディズムに撤兵の体が弓なりにしなる。
奴隷やペットのように調教されるような被虐感と従属感が刺激されて、優しい声で言われているはずなのに絶対的に聞こえてしまって、撤兵はひれ伏すようにガクトの示すまま彼の足元にその肢体を投げ出した。
大人しくもたれかかる撤兵の頭をガクトは無造作に撫でる。
「はい。よしよし・・・」
「・・・っ」
撫でてもらう感触がとても優しくて自然ともっと撫でて欲しくなって、甘えるようにガクトの手に擦り寄ってしまう。
まるで本当に子犬のように甘えてじゃれ付いてくる撤兵にガクトも笑みが納まらない。
「おいで・・・」
すくいあげるようにガクトの手が撤兵の顎に伸びる。
そのまま上向かせた顔に、最初は額、頬、唇、首筋と順を追ってキスを落としていく。
もちろん、ゴシップの波風を立たせないように加減して、跡は残さない。
跡は残さないが、一番効果的な絶妙な加減でキスを落とす。
キスの一つ一つでも気持ちが良すぎて撤兵の脳内が蕩けてしまいそうになる。
口付けられるたびにほのかに香る愛用の香水の香りがキスをより甘美なものに感じさせる。
もっとめちゃくちゃにして欲しいのに、もっと抱いて欲しくなってしまうのに一線を超えてくれないのがもどかしい。
「が、くと、さ・・・」
「なに?どうしたの?」
媚びるような目で見上げる撤兵にガクトはわざと首を傾げて問いかける。
まっすぐに見つめられて問いかけられると、撤兵は言葉に詰まった。
言い出すのもはしたないし、初めてなのにこんなことを頼むのも悪い。
言葉に迷っていると、ガクトがニッコリと笑う。
何もかもお見通しと言わんばかりの表情、来るなら自分からおいで言わんばかりの人の悪い笑み。
(ああ、敵わない・・・)
自覚した途端、撤兵の中で何かが折れたような音がした。
同時に迷いも全てかなぐり捨てて自らガクトの背中に手を回す。
ガクトの香りに包まれたのは、一瞬だった。
深淵の闇を思わせる、蠱惑的な香り。だが、溺れる感触が今はただ心地よくてたまらなかった。
 
数時間後、腕の中に撤兵を抱いていたガクトが目を覚ました。
眠りが浅い自分とは違い、撤兵は天使の様な無垢な寝顔で熟睡している。
そっと汗ばんだ髪を撫でても寝返り一つ打たない熟睡っぷりにガクトの口から笑みがこぼれた。
「失礼します、父上。お風呂の準備ができておりますが、入りますか?」
音もなく静かに入ってきた自分そっくりの侍然とした青年はガクトと同じ声をしている。
数年前自分の声を元に生まれたアンドロイドの息子、普段は家で待機させるだけだが自分のことを「父上」と呼んでこの上なく慕っていた。
「そうだね、入ろうか。あ、撤兵の服も整えておいてあげて。たぶん、まだ起きないと思うけど、起きたらいろいろ用意して」
「かしこまりました」
言いつけると行動は速い。
あっという間に、ガクトが起き上がるまでには言われた事をほとんどこなしてしまった。
だが、作業中も彼のガクトと同じ目は撤兵の方に注がれている。
「父上、このかたは・・・」
「今回の仕事で一緒になった子だよ。可愛かったから連れてきちゃった」
「また、ですか・・・」
「人聞きが悪いね。彼も合意の上だよ」
「父上は別格でございます。並の男でも父上の色香に叶うものはおりませんよ。昨年はキリショー様、一昨年は大乃様、その前の年には本合颯太様、あと長年のお付き合いのハイド様までいらっしゃるのに・・・」
「・・・ぶっ飛ばすぞ、お前」
今までに関係深い面々の名前を次々と上げられてさすがのガクトも青筋が立っている。
さすがにこの一言には一旦口を閉ざした。
ややあって、再び口を開く。
「では、こちらの方はどのようなお相手なのです?」
「そうだなぁ・・・」
ガクトの視線が撤兵の全身に注がれる。
愛らしい寝顔と首元の首輪のようなペンダントに笑みがこぼれた。
 
「ペット・・・、かな?」

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