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VOCALOID小説サイト『黄昏の歌』の別館です。 健全な表と違い、こちらはBL・及びR指定腐向けです。 読んで気分を害されたなどのクレームはお受けできませんのでご了承ください。 閲覧は自己責任でお願いします

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そいやぁっ!!
まだ任侠熱が冷めてなかったので、そのまま勢いでGO!!
刺青学校とかでどう誤魔化すの?な番外編です。
【桐に鳳凰】
 
私立山羽学園は入試レベルが高いが、入学してしまえば大学並のカリキュラム学習制度も手伝ってかなり自由な校風だ。
完全男子校だったのもあって、男子の行動を諌める女子もいないし、近くにはお嬢さん学校もあったから思春期盛りの青年たちはそれぞれの青春を謳歌するのに忙しい。
大学入試を間近に控えた三年生以外はせっせと短い青春次代を満喫していた。
いや、正確に言えば、三年生以外にもう一人・・・。
全学年対象の夏の集中講座参加申込書に参加の旨を記入した勇馬は、今一度記載漏れがないか隈なくチェックする。
読み返して不備がないのを確認して、封筒に丁寧にしまった。
そこへ、昼休みの購買にパンを買いに行っていた同級生たちが戻ってきて、教室は一気に騒々しくなる。
同級生たちがパンのついでにちゃっかり買ったアイスの袋が買い物袋から覗いている。
夏休みまであと半月ほど、夏服以降になってすっかりそれらしい季節になった。
目の前の夏休みに浮かれているクラスメートたちは勇馬の手元に置いてあった集中講座の申し込み封筒にギョッと目を剥いた。
「ゲー!!勇馬、集中講座出んのー!?夏休み勉強ばっかで遊ぶ暇ねーじゃん!!」
「かーっ!!さすが学年トップ!俺らと考えることは違うねぇ!!」
「夏休みだぜ、夏休み!!海、プール、祭りにイベント目白押し!!大事な青春をおべんきょで潰すなんてもったいねーよ、勇馬ちゃーん」
「お前、それ彼女付き限定だろ?」
グループの一人が突っ込むと、例のお調子者はぺろりと舌を出した。
何も知らずに浮かれているクラスメートたちに、勇馬は窮屈そうに笑ってみせた。
「いいんです。それに僕、そんなにおおっぴらに外で遊べないし・・・」
「あ!バカ、お前。なに勇馬の痛いところピンポイントで突いてるんだよ。勇馬、病気で肌出せない体だったのに、プールとか海とかNGワードじゃん!!ごめんな、勇馬」
クラスメートの一人が勇馬の学ランを指さして、いらぬことを言ったお調子者を叱りつけた。
さすがに要らぬ事を口走ったことに気づいたのか、その場の空気が重くなる。
その空気を払しょくするように勇馬は小さく笑ってみせた。
「いいんです。気にしてないし、僕、それに元々カナヅチですから・・・」
健気にも穏便にその場をとりなそうとする心遣いに、重かった空気が少しやわらかくなった。それに、そろそろ時間だろうか。時計を確認すると、一時前。
勇馬は鞄を手に下校の準備を整える。
そこへ、別の場所でたむろしていた他のクラスメートが勢い込んで駆け込んできた。
「おい!!勇馬、また呼び出しだぞ!!」
「今度はどこだ!?」
「聞いて驚け!!ファーストプレイス女学院の美少女だ!!」
その報せにクラスメート全員から雄叫びが劈く。
やれやれ、またか。ため息ひとつついて、勇馬は腰を上げた。
「それじゃあ、ついでですし。失礼します」
「お前、その伝手俺にもよこせ-!!」
美少女揃いの名門女子校ファーストプレイス女学院の生徒に鼻息あらくなったクラスメートをスルーして、勇馬は速やかに教室を後にした。
「ちぇー、やっぱり成績優秀のイケメンに全部持っていかれるのかよー」
「まあ、女としてはお前みたいなチャラ男よか勇馬みたいな清純真面目くんがいいんじゃね?今時あんな真面目で優しいいいやつあんまいないし・・・」
「だよなぁ、俺だって時々勇馬見てて可愛いって思うときあるしー。なんつーの?ほら、あいつ健気だもんなぁ」
「いいとこの坊ちゃんぽいのに、偉そうじゃないからいいよな。どれ、告ってきた娘って誰よ・・・、あ!あれ、勇馬の迎えじゃね!?」
教室でやっかみ半分反省会に突入して、なおも女子生徒がどんな娘か気になるクラスメートが学校の外に止められた車を見つけて窓から身を乗り出した。
左座席、しかも上下スライド開閉ドアの外車は超高級外車のマクラーレン。それも車好きなら知らないものはいないほどの流通台数が限られている限定モデルだ。
男子生徒の気を充分に惹きつける二大要因にいつの間にかクラスメート全員が窓から身を乗り出してその様子を見ていた。
 
「勇馬!!」
「がくぽさん!!・・・あ、すいません。迎えが来たので、返事はまた後日にでも届けます」
「あ、はい・・・」
校門前で例のファーストプレイス女学院の一年生、イアにラブレターを渡されていた勇馬は、断りもそこそこに小走りでがくぽの元に向かう。
がくぽはいつもの着流しでなく、モデルといっても通用しそうな出で立ちだった。
駆け寄ってきた勇馬に運転席のがくぽはサングラス越しに笑顔を向ける。
「おかえり・・・」
「どうしたんです?いつもはリリィさんか、アルさんが迎えに来てくれるはずなのに・・・」
「シノギもなかったから代わりに来たまでだよ。ほら、乗って」
わざわざ手ずからドアを開けて乗るよう促してくれた。
驚きも大きかったが、それよりも嬉しい気持ちのほうが強い。
大好きな親代わりであり、兄であり、好きなひとだから一緒に入られるだけで無条件で嬉しかった。
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!』
突如、勇馬のクラスの窓から雄叫びが聞こえてぎくりとする。
振り返ると、クラスメートが総出で窓からお見送りの図が出来上がっていた。
「ちょ、みなさん何やってるんですか!!危ないし、午後の授業始まるんだから席について下さい!!」
『JKも可愛いけど、勇馬の兄さんやべぇ!!めっちゃかっこいいじゃん!!』
『バカ!!あれはかっこいいって言葉で表現するもんじゃねえよ、美形だ美形!!』
『超綺麗じゃん!!ジョニーズとか比べもんならないって!!』
『俺、あの兄さんになら抱かれていい!!つか、抱かれたい!!』
『勇馬―!!彼女まわしてくれないなら、兄さん俺にまわしてー!!』
『コラァ!!お前たち、何をしてる!?』
午後の授業の先生までやってきて教室中は既にカオス状態だ。
どうしましょう、と言わんばかりに勇馬はがくぽに視線を投げる。
がくぽは別段興味無さげにしていたが、勇馬の視線に気づいて困ったように笑った。
小さく教室に向けて指を投げかける。『早く席にお戻り』と言わんばかりのハンドシグナルに、一撃でノックアウトされた生徒たちは調教された犬のように一目散に席に戻っていった。
 
その話を西日本任侠『陰種座』の屋敷に帰った勇馬が話すと強面の若い衆から顔を出していたシノギの従業員まで弾けるように笑い出した。
「いやあ、スミマセン、坊チャン。迎えに行くッテ言ってたんですけド、若頭がたまにはどうしても迎えに行ってやりテェって聞かないんデ・・・」
若頭補佐のアルが困ったように頭を掻きながら弁明した。
それに被せるようにシノギのキャバレーの売れっ子娘、リリィが続ける。
「目立たないように行くから心配いらないって言ってたけど、やっぱり目立っちゃったみたいねぇ。義兄弟揃ってモテるんだから、隅に置けやしないわねぇ」
リリィの手にはさっき勇馬が渡されたラブレターが広げられている。
子供の頃、親を亡くして極道の陰種座若頭である神威楽保に育てられた勇馬は、組に出入りする者達から若頭の舎弟分ということで下にも置かれない扱いをされている。
もちろん、極道の家で育っている事は公然の秘密で、今は将来陰種座顧問弁護士になるべく勉強に打ち込む毎日である。
基本荒事だらけの任侠世界故に、陰種座は原則女を組に入れない。
それでも、表社会から爪弾きにされてしまった女性たちを見限ること無く、何処かに勤め先を手配するなり、便宜を図る。
リリィも昔、親に置き去りにされて捨て去られた所を初代親方と若頭であるがくぽに拾われて、今は陰種座のシノギであるキャバレーの売れっ子娘として働いている。勇馬とよく似た境遇だが、若頭であるがくぽとは年が近い分、勇馬の知らないがくぽの学生時代の話などを聞かせてくれる。
勇馬はリリィの聞かせてくれる話が大好きだった。
「やっぱり、がくぽさん、人気あったんですか?」
「親方が下手な芸能人よりもよっぽど綺麗だし、若頭も親方にそっくり生き写しでしょう。組の中ではシノギのホステスやおば様連中が面倒見るって取り合いするし、外ではそのヴィジュアルとこの道の義侠溢れる男ぶりで小学校の頃から女も男もメロメロのトロットロよ。隠れファンクラブまであったんだから。陰種座の一人息子って世間様にバレた時でさえ、さすがに親御さんは子供を遠ざけたがったみたいだけど、返って『カッコイイ』の箔を釣り上げちゃったみたいで、嫁にしてくれって頼み込んでくる娘っ子が耐えなかったんだから」
さすがに親心としては自分の子供を極道に近づけたくなかったのだろう。それはやはりこの道の悲しい性だ。
しかし、禁じられると余計に燃え上がるのが人情というもの。親に隠れて告白したり、誘ったり、ラブレターが届けられた。靴箱には男女問わずラブレターが溢れ出すほど詰め込まれたので、学期途中で生徒の靴箱は全て開放型から鍵付きのドアタイプに替えられたのだという。
多い日にはダンボールいっぱいに届けられたと聞いて、勇馬は目を丸くした。
「ふわぁ・・・、すごい・・・」
「お陰でうちは助かってるけどね。客が来ない日は、こっち来て若頭の胸ちょぉっと借りて『うちに来る人、この胸と~まれ』で陰種座御一行様ご案内の出来上がりだもん」
「うちの組の連中まで巻き込むな」
「あら、いいじゃない。来ない日ってロクデナシばっかり来るから厄除けにちょうどいいの。持ちつ持たれつよ。そんなに嫌なら、組の連中に乗せられないように躾けることね。難易度高いでしょうけど」
洋装からいつもの着流しに着替えて戻ってきたがくぽの苦言も気に留めず、リリィはさらりと言い返す。
確かに、そんな誘惑に負けないように躾けるのは難しい。陰種座に入ってくる連中にチンピラのような三下はほとんどいない。アルのように親方や若頭のような古き良き義侠の、男も惚れるような男ぶりに惹かれて必死の覚悟で入ってくるのがほとんどだから、垂涎ものの誘惑をちらつかせられて飛びつかない奴はいないだろう。
「・・・・・」
ちらりと横目でがくぽの着流しの下、引き締まった体つきを眺めながら、勇馬はほのかに頬を赤く染める。
もし、そんなことを言われたらさすがに勇馬もどさくさに紛れて飛びついてしまうかもしれない。
そこへ、陰種座に出入りしている勇馬の幼馴染であり、陰種座御用聞きの若手彫師ピコが顔を覗かせた。手に下げた液体が入った一升瓶を勇馬に差し出す。
「勇馬、帰ってたか。ほら、いつものこれ。持ってきたから急いで風呂場で落として来な。春物の制服ビッチリ着込んでるから、汗まみれじゃないか。ついでに綺麗に洗っておいで」
「いつもすいません、ピコさん」
「大事にしてやってくれよ。それは俺の大事な箱入り秘蔵っ子だったんだからな」
ピコの視線が勇馬の背中を愛おしげに見つめる。
それほどまでに自分の仕事に誇りを持って打ち込めるピコが羨ましいと思った。
風呂場に行こうとした勇馬に添うようにがくぽも付いてくる。
「え?がくぽさ・・・」
「ついでに俺も一風呂浴びたくなった。勇馬を迎えに行く前にピコにこれの扱い方を習ったから、この際実践してみたい。ピコ、他に言い残したことはないな?」
「はい。ああ、そうだ。汗疹とか傷口があるときは使わないで下さい!肌がカサついて割れちゃいますから!その時は時間かかるけど、湯でふやかしてから指で撫でるようにお願いします」
「分かった。では、行こうか」
 
「ごめんなさい、僕の勝手のせいで皆さんに迷惑かけてしまって・・・」
「皆も納得していることだ。もうそれ以上言うな。・・・ああ、やっぱり・・・」
脱衣場で学ランを脱いだ勇馬を一瞥したがくぽは声を落とす。
初夏に関わらず長袖の学ランを着込んでいた勇馬のワイシャツは汗でびっしょりだった。
水分を吸って身体に透けて張り付いたワイシャツ越しに、うっすらと鳳凰の羽が浮かび上がっている。
この春、勇馬ががくぽに無断でピコに入れてもらった刺青だ。
入れてもらったのはまだ肌寒い春先の事だったから、学校は体育と健康診断を回避すればひと目に晒すことはないと思っていた勇馬だが、季節を考慮することを忘れていた。
夏服以降になると基本ワイシャツ一枚、それも半袖になると勇馬の刺青は透けて見えてしまう。何としても大学まで行って、弁護士になるまでは任侠絡みだと気づかれたくなかった。バレたら最後、司法試験への道が閉ざされてしまう可能性が出てくる。特に、最近この辺りの行政は風紀監査と称して、暴力団系の動きに神経過敏になっていた。
暑い夏でも春物とはいえ長袖の学ランを着込んでいたら絶対に怪しまれる。
そこで、がくぽは懇意にしているモグリの医者に診断書を書かせて、勇馬を軽度の紫外線アレルギーということにして体裁を保った。
充分に注意を払ってこまめに日焼け止めを塗れば多少は緩和でき、日常生活に支障はないが、紫外線量の多くなる夏場の午後以降になると発症リスクが高くなるアレルギーという説明を学校側にして、夏の間だけ勇馬を午後一時までに早退させてもらうことにした。元々勇馬は学年トップクラスの成績だったし、6月半ばから終業式までの一ヶ月間ということで学校側もすんなり許可を出してくれた。始業式は9月下旬、その頃には季節はもう秋だから普通に生活しても大丈夫という触れ込みだ。
さらにもっともらしく見せるため、早退後は病院に直行と見せて組の者が送り迎えにやってきて、勇馬も紫外線計器を常備しているという徹底ぶり。
それでも心もとないとばかりに、彫師であり肌の扱いにかけてスペシャリストのピコが特別なリキッドファンデーションを処方した。製法は門外不出だが、ファンデーションのように隠したい所に載せて肌にすり込むと、肌の色に馴染んで刺青が見えなくなるという特殊なものを塗って完璧に周囲の目をごまかしている。
ただこのファンデーションは副作用と言うべきか、水、特に塩水に溶けやすい上に、乾いて塩と化合して固まったファンデーションの粒子が荒く細かいことで肌を傷つける恐れがあった。大事な芸術品、最高傑作故にピコがあれほど神経過敏になっていたのだ。
がくぽが確認すると、たくさん汗をかいた腕から首筋あたりから鳳凰の羽が見え隠れしている。
透けたワイシャツ越しに浮かび上がる勇馬の身体、鳳凰が舞っているその背中は女に引けを取らないほど美しい。
パンツを下ろして、最後にワイシャツを脱ごうとした勇馬の手をがくぽは止める。
「え?あの、がくぽさ・・・」
「シャツはそのままにしておけ。張り付いて無造作に脱げば肌を傷つけるかもしれん。そうなったらピコがうるさい」
それらしく嘯いて、ワイシャツを着たままの勇馬の手を引いて風呂場に入る。
シャツだけ着て風呂にはいることに違和感を拭えない勇馬だが、作品にかけるピコの情熱は本当に凄まじい。
一回、うっかりファンデーションを落とさずにそのまま寝てしまった日には、丸一日かけてのお説教とともに、エステシャン顔負けの美肌アフターケアが施された。ピコ曰く、思春期の肌は非常にデリケートで変わりやすい為、状態保持が難しく、杜撰な扱い方をしたら一気に劣化するらしい。
ピコが墨を入れたリオは喫煙のために肌が劣化して、せっかくの刺青がくすんでぼやかしてしまったが、その時のピコの怒りようときたら、強面の任侠のご意見番でさえ声をかけるのをためらうほどの鬼気迫る迫力だったという。それを考えると確かに怖い。
がくぽはピコに教わったとおり、人肌よりも少し熱いくらいのお湯をゆっくりだがたっぷりと勇馬のシャツの中に流す。
それを数回繰り返すと、熱と水でファンデーションが溶け出して、シャツの向こうに見事な鳳凰が姿を現した。
シャツと風呂の湯気の薄い霞の向こうに見える鳳凰はこの世のものとは思えないほど美しい。
思わず我を忘れて見入ってしまう程の美しさだ。
「がくぽ、さん?」
動きを止めたがくぽを不審に思ったのだろう。勇馬が遠慮がちに振り返る。
慎ましくも愛らしく上目遣いでこちらを見つめる仕草がたまらなく愛らしかった。
がくぽの理性が揺らいで、歪んだ欲望が顔を覗かせる。
「・・・少し、ふやかす必要があるようだ。湯に浸かってしばらく様子を見るとしよう」
「はい」
そう言ってやれば、勇馬は大人しく湯船に向かう。
最初、シャツを着たままでいいのか、迷ったようにがくぽに視線を向けたが、がくぽは頷いて浸かるよう命じた。
返り血や怪我が絶えない任侠の家ではお湯の入れ替えなど当たり前の様に行う。慎ましい勇馬は遠慮を感じてしまうようだが、それが当たり前で育ったがくぽには大したことではない。
お湯の動きに合わせてシャツが薄羽根のようにひらひらと揺れる。
薄羽根の下にはすんなりと初々しい勇馬の身体が伸びている。
充分に温まって薄紅に色づく肌は桃のように瑞瑞しかった。
がくぽの手がきゅっとしまった勇馬の臀部に伸びる。
「・・・え?」
「そのままでいい」
「で、でも・・・、はんっ!」
お湯より熱い昂りを菊座に感じて勇馬は喉を逸らす。
足腰に力を入れて受け入れようとするが、湯船の中、がくぽに抱えられて身体がお湯に浮いている状態ではうまく力が入らない。
お湯も手伝って、いとも簡単にがくぽのものが勇馬の中に一息で納められた。
「はうっ!!いやっ、が、がくぽさん・・・、ふ、深すぎますぅ・・・、あんっ!」
がくぽに支えられている状態だから、勇馬の体は自然と腰に重心がかかって快楽をより如実に感じられるようになってしまう。
がくぽも腰を動かし始めると、前立腺はもちろん、今まで挿れられた場所よりも更に深いところをえぐられるように貫かれた。
「あ、だめ・・・、がくぽさん・・・、動かないで・・・!お湯が、お湯が僕の中に・・・、あっ、あっ・・・」
がくぽが動くたびに、湯船のお湯が勇馬の中に流れ込む。
お湯の熱とがくぽの熱がはぜあって、中がやけどをしてしまいそうだ。
それなのに、お湯が潤滑油代わりになって少しも痛くない。それどころか、自分の中で激しく波打つ感触がたまらない。
「はぁっ・・・、ふあ・・・」
「ククク・・・、すっかり蕩けきったようだな、勇馬。迎えに行ったときはあんな清純そうな顔をしていたくせに、こんな破廉恥な事をされて艶っぽい顔を浮かべるとは、とんだ淫乱だな・・・」
「だって・・・、だって・・・」
勇馬の視線が熱を帯びたままがくぽを捉える。
ねだるような視線にがくぽも優しく口付けた。
「俺の前だけ、というつもりか。可愛いやつよのう・・・」
「・・・んっ。あと、あんまり、学校に、来ないで・・・。がくぽさん、他のこに、みせたくな・・・ひうっ!!」
「おっと・・・」
危うく理性を飛ばして猛り狂うところだった。
こんな状態で飛ばしたらまず間違いなく、勇馬がオーバーヒートしてしまうだろう。
湯あたりなんか起こされても困る。
だが、あまりに可愛い事をいうこの子を前にこれ以上、生殺しも少しつらい。
「・・・仕方ない。中で出すだけで今のところは我慢しよう。少し熱いかもしれないが、我慢してくれ」
「ふぇ?!!あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あっ!!」
抽送が激しくなると同時に、お湯がしとどに勇馬の中と外を出入りする。
粗相をしているような恥ずかしさと気持ちよさに身体が爆ぜてしまいそうだ。
やがて、ドクリと音がしそうなほど、明らかにお湯とは違う、激しい熱量と質量を持ったものが勇馬の中に注ぎ込まれる。
身体の中から溶け出してしまいそうな強烈な快楽に、頭が重くて仕方ない。
勇馬の意識は湯けむりに紛れて切れた。
 
 
「やれやれ・・・、まだまだ未熟だな・・・」
湯船の中で気を飛ばしてしまった勇馬を着替えさせ、ベッドに運んだがくぽは添うように横になって勇馬の顔を覗き込む。
がくぽの思慮など気づいていないのか、勇馬は天使のような汚れのない健やかな表情で眠っている。
そっと目元にかかった前髪を払いのけてやった。
春先よりも少し伸びたらしい。今度切って整えてやろうかと考えていると、自分の学生時代を思い出した。
がくぽは身元が割れていたから公立に進学したが、父が気に入っていた伸ばした髪だけは校則に違反しても切りたくなかった。結局、例のファンクラブの生徒がPTAにまで猛抗議して特赦で認めさせたと聞いた。我ながらなかなか人気があったことを改めて自覚する。
それでも、手当たり次第男も女も抱いていたあの頃より、ずっと今の方が満たされていた。
抱いても抱いても少しも満たされなくて飢えていたのに、今はこの上なく満たされて欲望と慈愛、相反する二つの感情をコントロールできるようになっている。
それが自分でも不思議だった。
顔を寄せると、勇馬の柔らかい優しい肌の香りが鼻孔をくすぐる。
たまらなく性欲をそそる香りでもあるが、愛おしさを感じるのも事実だった。
焦らなくてもいい、勇馬は着実に少しづつ成長している。
今はその成長をゆっくり噛みしめよう。
今はしばし・・・。
 
(ゆっくり、おやすみ・・・)
 
そっと額に落としたキスに、勇馬の寝顔がふわりと微笑んだ。

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