忍者ブログ

VOCALOID小説サイト『黄昏の歌』の別館です。 健全な表と違い、こちらはBL・及びR指定腐向けです。 読んで気分を害されたなどのクレームはお受けできませんのでご了承ください。 閲覧は自己責任でお願いします

[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

できたどー!!
やっと書き上げました。任侠がく勇フィナーレです!!
ああ、久しぶりにこんな打ち込める作品かけて大満足です。
【鳳翼】 

 
バンバンバンバン!!
 
『ぎゃああああああ!!』
『出入りだ!!ぐあっ!!』
突如聞こえた銃声と共に悲鳴がその場を劈いた。
驚いた勇馬が目を開くと、先ほど自分を手篭めにしようとした男たちが血まみれになって倒れている。
「ひっ!!」
目の前で人が死んでいる光景に今更ながら震えが止まらない。
そこへ、耳慣れた声が銃声の間から飛んできた。
「おい!カイト、あまり派手にぶち抜くな!!勇馬が中にいる!!」
「あ、ごめんごめん!!じゃあ、ザコはボクとレンで片しちゃうから!残りはよろしく」
(がくぽ、さん・・・?)
勇馬が顔を上げると、蜂の巣上にぶち抜かれたドアの向こうにいたのは間違いなくがくぽだった。
男が銃を所持していないがくぽに向かって隠し持っていた銃を向けたが、男の銃から発砲はされなかった。
一瞬で間合いに踏み込んだがくぽは居合の要領で抜き放った刀を一閃、男の腕を銃もろとも切り落とした。そのまま燕返しで男の肩から心臓めがけて袈裟斬りに刀を振り下ろす。
ゆっくりとがくぽが納刀したと同時に、男は全身から血を吹き出して絶命した。
視線を巡らせてがくぽは屍に囲まれて震えていた勇馬の姿を見つけた。
急いで自分の羽織を脱いで勇馬に被せながら、そのまま惨劇から視界を奪うように抱きしめた。
硝煙と血の匂いは立ち込めているが、抱きしめられるとがくぽの香料の香りが勇馬を包み込む。抱きしめてくれる温かい手はいつも勇馬を落ち着かせてくれた優しい手だ。
(がくぽさん、がくぽさん・・・・)
「・・・が、くぽさん・・・、ごめ、なさ・・・」
「すまん・・・。迎えが遅れた・・・」
がくぽの手は勇馬をなだめるように優しくさすってくれる。
だが、勇馬の身体の震えは簡単に納まらない。
血の匂い、周りの人が死んでいるという惨状がひどく勇馬を怯えさせて仕方ない。
あまりの恐ろしさに震えが止まらず、目から自然と涙がこぼれた。
勇馬の様子にがくぽが顔を歪めた。
勇馬は子供の頃、目の前で父親を惨殺された。その時の光景・状況は幼かった勇馬が自失状態になるほど深い心の傷となっている。
この手の抗争が日常茶飯事の任侠の世界だが、返り血を浴びて帰った日には健気にも出迎えた勇馬を昏倒させてしまった。血の匂いだけでも駄目なのだ。勇馬はトラウマのせいで任侠の世界でとても生きていける身体ではなくなっていた。
気がつくと銃声はとうに止んでいる。
顔を上げるとまた惨たらしい光景が飛び込んできた。思わず目を伏せた勇馬を落ち着かせる様に羽織を預けたまま、がくぽが一緒に乗り込んできた二人に声をかける。
「随分派手にやらかしたな、カイト。38口径イングラムを街ナカでぶっ放すドアホウがいるか。レンまで22口径自動小銃なんて代物もたせよって・・・」
「アホって言うなー!!内地と違ってアホって言われたら腹立つんだよ!!いいじゃない、こっちのほうが手っ取り早いし、一発だし。どっちみちヤルことには変わりないから一緒だよ」
「そういう問題じゃねえよ、兄貴。すいません、がく兄。俺らこっちの流儀に慣れちゃいないから、謡雨会さんにはよろしく言って下さい。代わりに、今回の不始末はきっちり責任持って土産金と一緒に納めさせていただきます。それで落とし所としてもらえませんかね?」
「あいわかった。なら土産をもらった以上、こっちも返すのが道理だ。これで手打ちとしよう」
万事合理的な北のやり方と喧嘩の仕方にこだわる西だが、どちらも義侠溢れるれっきとした任侠だ。
どちらも不利益を被らないよう互いに譲れるところを譲って丸く収める。
話している間にも制裁した連中の遺体は組の連中に運ばれて、現場は綺麗に片付けられていた。
ようやく震えが治まった勇馬が恐る恐る顔を上げる。
すると、がくぽと同じくらいの年かさの、どう見ても爽やかな優男が勇馬に視線を投げてニッコリする。側にいた少年、自分よりも明らかに年下の、まだ中学生くらいの子がため息とともに、綺麗な手にそぐわないチャカ(拳銃)で優男を軽く小突いた。
「笑ってる場合じゃねぇだろ、兄貴。こっちの不始末のせいで危ないところだったじゃねえかよ。陰種座の若頭の秘蔵っ子を、曲がりなりにも制裁対象とはいえウチの残党がキズ物にしたら目も当てられないところだったんだぞ。幸い間に合ったから良かったものの、『栗府一家』潰されたら姐さんにどやされるどころじゃすまねえって」
「わあっ!!今はそれ言わないでよー!!こっちに出張る前に散々めーちゃんに釘刺されたんだから!!流氷に浮かべてワシの餌とか思い出しただけで肝が冷えるー!!」
(『栗府一家』!?北の任侠の・・・)
先だってがくぽが会合に臨んだ例の組だ。
どうやら勇馬は知らないうちに組の揉め事、それも地方トップ同士が絡んだ一大事に首を突っ込みかけていたらしい。
自分の勝手な行動で危うくがくぽを窮地に立たせるところだったと思うと途端に身体が冷えた。
勇馬の思慕とはよそに、がくぽは粛々とこれから先の事について話を切り出す。
「ところで、アレはどうするつもりだ?アシが付くようならこっちで始末するが・・・」
「ああ。いいよいいよ、ウチの若いのにバラさせて陸路と船で持って帰らせるから。まったく、高飛びなんかするから面倒になっちゃって・・・。持って帰って熊とか鮪の餌にでもするよ。その方が無駄もないし、効率的でしょ?それと、『亞覇譜組』のキヨさんのところにも寄るつもりだからいい手土産になるじゃない」
粛清した残党は車でわざわざ持ち帰って人目につきにくい故郷の樹海で徹底的に処分するつもりらしい。それも今回首を突っ込んで来なかったがしっかり情報をかき集めているであろう東日本の『亞覇譜組』にも手土産ついでに報告にいくという。
にっこり笑ってあっけらかんと言うが、これからやろうとしていることは『栗府一家』流儀の東日本任侠へのアピールとそのイメージ刷り込みだ。
優男だと思ってかかったらとんでもないところから刃が飛んでくる。伊達に広大な北の任侠を一手に束ねる『栗府一家』初代親分を張っているわけではない。
「さて、一ヤマ片付いたから出るまで、関西観光でもしてこようかな。うちの可愛いミクに京都土産に可愛い小物でも買ってこようっと。メールして何欲しいか聞いておこうかな」
「親バカ・・・」
毎度おなじみの愛娘ラブっぷりにレンがため息をついた。
カイトの愛妻家・一粒種の愛娘の溺愛ぶりは、目に入れてグリグリしても痛くないほどの可愛がりようなのだ。
噂で聞いていたがくぽもこれには呆れるばかりだ。
「お嬢の気苦労が伺えるな・・・。こんな子煩悩が父親とは・・・」
「だってうちのミク、本当に可愛いんだもん!!もう、愛らしいっていうか健気っていうか。あ!でもがっくんにもレンにもミクは絶対あげないからね!!っていうか、任侠には絶対嫁にやらない!!」
「えっ!?」
カイトの言葉に勇馬は驚いて顔を上げる。
さっき一人娘だと聞いた。ならば、カイトが引退するときは一人娘に婿を取らせて後を継がせなくてはいけない。
それなのに、任侠にやらないで一体どうすると言うのだろう。
勇馬の疑問に気がついたのだろう。カイトはにっこり笑いながら勇馬に話しかけた。
「気になるの?そりゃあそうだろうね。跡取りどうするかって任侠の家の子なら気に留めるよ。でも、最近は組長の実子が継ぐケースって少ないんだよ」
「そうなんですか?」
「うん。なにせ、こんな稼業だからね。ムショ入り当たり前だし、ヤルのも当たり前だから、子供にはこんな思いさせたくないからって、しっかり勉強させてどこに出しても恥ずかしくないくらい躾けて、カタギにするのが大半だよ。がっくんだってお父さん、そのつもりだったって言ってたもんねー?」
「・・・言うな。あれは俺の過去最高の過ちにして最大の汚点の親不孝だ」
がくぽが憮然として吐き捨てる。
あんなに初代を慕って尽くしているがくぽが親不孝?初めて聞くことばかりに勇馬の頭が追いつかない。
レンがそこに助け舟を入れた。
「がく兄さんがドサ入り相手に身体懸けた逸話は知ってるでしょう?あの一件のせいでがく兄さんはカタギへの道を完全に閉ざしてしまったから、親っさんをひどく落ち込ませてしまったらしいんです」
有名な大立ち回りは陰種座だけではなく、よその任侠の間でも知らないものはいないらしい。普通、身体を懸けるという行為は危険が常に付きまとう。死なないで済めば万々歳だから、組の連中でも普段その機会が欲しいと思っても、いざ目の当たりにすると怖くて一目散に逃げる奴も少なくない。相当肝が据わった人間でないとできない所業なのだ。
それを若干7歳の幼子が、それも関西最大勢力陰種座の一粒種の子息がやってのけた。
当然、組の繁栄没落がかかっている任侠界はこの稀代の新星に目をつけた。
関西の組はこぞってがくぽを持ち上げたし、北や東の組はがくぽを要注意人物としてマークした。
ここまで周りが騒ぎ立ててしまっては、初代もがくぽを跡目に継がせずカタギにすることが不可能になってしまったのだ。
がくぽとしては早く一人前になって父に認められたい一心故だったのだが、父の本心は子供とは全く別の所にあった。
(それじゃあ・・・)
「・・・帰るぞ!!勇馬!!」
バツが悪いのか、勇馬を抱き上げる動作はいつになく機械的でしかも早い。
足早に去っていくがくぽを見送りながら、カイトは飄々とした笑顔とともに呑気な声音で「また日を改めて挨拶に行くから~」と声を投げた。
 
 
陰種座の屋敷に連れて帰られた勇馬はがくぽに抱えられたまま風呂場に連れて行かれた。
討ち入り用の白衣装を脱ぎ捨てたがくぽの背中には乱れ龍が踊っている。
ピコの刺青は見るものに躍動感を与える高度な技術だ。成長したせいで手直しが必要になったという龍はあることを勇馬に訴えかけているようだった。
「・・・・・」
男たちに触れられた残滓を拭うように、血の匂いを綺麗に落とすようにがくぽは勇馬の身体を丹念に洗い清めた。
初めてこの家に連れて来られた時も、泥だらけの勇馬をこうしてがくぽが丁寧に洗ってくれたことを思い出す。その時も、乱れ龍はがくぽの背中にいた。
先ほど、墨を入れた直後に、がくぽが激怒してピコを殴りつけた事を思い出して、勇馬の脳裏にある想像が浮かんだ。
「・・・ねえ、がくぽさん」
「なんだ?」
「がくぽさんの背中の乱れ龍、・・・もしかして、それを入れたのは7歳の時ですか?」
「・・・・・」
勇馬の問にがくぽがぐっと押し黙る。
その沈黙は肯定を意味している。同時にこれではっきりわかった。
ピコの祖父はカタギだったが、ピコと同じように職人気質に溢れる芸術家でもあった。
おそらく、がくぽの台頭は出入りしていたピコの祖父の耳にも入ったことだろう。一世一代の最高傑作を再び彫る機会に恵まれてウズウズしていたに違いない。詳しい話は聞いていないから全て想像だが、多分何かの折でピコの祖父がこの家に来た時、どちらが切り出したかは分からないが、乱れ龍を入れるか話題になった。もちろん、がくぽとしては尊敬していた父親と同じ墨を入れてもらいたかったに違いない。これだけ騒ぎにもなったから跡目を継ぐのは必然という風潮があったのも重なって、ピコの祖父はがくぽの背に乱れ龍を刻んだのだ。
7歳ではまだまだ育ち盛り、図案に手直しする必要ができるほど体つきが変わってもおかしくない。
そして、その行為がどれほど初代の逆鱗に触れたかも、今の勇馬なら手に取るようにわかった。
「・・・馬鹿者」
不意にがくぽが勇馬を抱きしめた。
抱きしめられた腕に力がこもって痛い。だが、その痛みががくぽの思いの深さを伝えてくれる。
全部、勇馬可愛いさ故だった。
カタギとして生きられるよう育ててくれたのも、進学先を遠い公立に選んで進学させようとしたことも、勝手に墨を入れた勇馬に激怒してすぐに消せないか心配してくれたことも、トラウマとその性格故に任侠にはなれないと言ってくれたことも、全部勇馬を思っての事だった。
そんな深い愛情に気づけず、全部無下にするように返してきた今までの未熟な自分が情けなく恥ずかしい。
だが、振ってきた言葉は予想と違って温かく優しかった。
「なんで・・・、俺と同じ間違いをしでかすんだ・・・」
「・・・っ、仕方ないですよ。がくぽさんに育てられたんですから」
嬉しいやらおかしいやら、恥ずかしいやら申し訳ないやらで勇馬も困ったように声を上げる。
涙は相変わらず頬を流れていくのに、おかしくて笑ってしまう。
勇馬の返事にがくぽも困ったように笑い声を漏らした。
がくぽの手が勇馬の背中の鳳凰に触れる。
男たちに触れられたときは嫌悪感しか沸かなかったのに、がくぽの手に触れられると触れたそこに火が灯ったように温かい。
もっと触れて欲しくて、勇馬はがくぽの腕の中で身をくねらせた。
その動きにがくぽがため息混じりに告げる。
「やめんか勇馬・・・。まるで情夫だ・・・」
「あ・・・。いやで、すか?」
いやらしい姿を見せて失望させてしまっただろうか。
腕の中で小さくなる勇馬にがくぽは呆れたようにため息を付く。
「そうではなくて・・・、ああ、もう!!」
じれったいのにしびれを切らせたがくぽは勇馬を抱えて風呂場の床にその身を横たえさせると、そのまま互いの唇を重ねた。
「んうっ!!」
がくぽの口付けに勇馬の口から甘い吐息が漏れた。
吸い付くように勇馬の口内に舌を這わせて、柔らかい勇馬の舌を捕らえてはわざと逃がしてまた捕らえて愛撫する。
生まれてこの方味わったことがないような甘美な快楽に、勇馬の表情が恍惚の熱にうなされだした。
長い長い陶酔の一時の末、がくぽはゆっくりと唇を離すと、そっと勇馬の頬を愛おしむように触れた。
「せっかく、堪えていたのに・・・」
 
あの雨の日、壊れかけた勇馬が紡いでいた歌声。
伸びやかで優しく、素朴な歌声はがくぽの耳朶に心地よく響いた。
思うにあの時既にがくぽは勇馬に魅入られていたのだろう。
親を亡くし、寄る辺もない哀れな子。縋り付いて泣きじゃくる子供の体温と添ってくれる温かさが任侠の家で育ったがくぽにとってこの上なく愛おしかった。
本来なら孤児院に入れられるはずだった勇馬をがくぽは無理を言って自分の元で育てることにした。
溝沼の様な任侠の家で、勇馬はこの上なく健やかで昔ながらの美徳だけを身につけて清らかに成長した。
大事な宝物のように見守り育てて来たが、勇馬の高校受験を機にそろそろ手放す潮時だと父である初代に告げられて激しく動揺する自分がいた事を思い知らされた。
父はとっくにがくぽの胸中などお見通しだったのだろう。
かつて自身にも覚えがある分、がくぽに二の轍を踏ませたくなかったに違いない。
長くいればいるほど手放すのが辛く苦しくなる。日に日に綺麗に成長していく勇馬を見続けて、堪えるのが辛いほどだった。
そして、その忍耐は手篭めにされかけ、刺青姿も美しく装った勇馬を見た時に砕け散った。
(もう、待ちたくない・・・)
「がくぽ、さん・・・」
風呂から上がって、浴衣一枚着たままがくぽの部屋に連れて行かれた勇馬は上目遣いでがくぽを見る。
既に布団の用意は整っていた。
顎をしゃくって布団の上に座るよう促す。勇馬は大人しく従ってきちんと正座をした。
がくぽも勇馬と正面切って向かい合うようにその場に正座する。
「勇馬。これでもう、お前も手前の背負ってるものの重みがわかっただろう。子供の頃の傷のせいでお前は極道にはなれん。かと言って、その背に負った鳳凰がいる以上、お上にもカタギのお偉方にもなれん。だが、手塩にかけて育てた俺としては、シノギの連中の中で苦労するお前を見るのも忍びない。後は・・・、分かるか?」
「はい・・・!」
嬉しさで勇馬の声が潤む。
一緒にいられるならどんな扱いでも構わない。
情夫としてでも、がくぽが自分を望んでくれるなら、これ以上嬉しいことはなかった。
恩返しには到底なれない。
けれども、子供心に誓ったもう一つの願いと想いは変わらない。
 
「『ずっと、お側に置いて下さい』・・・」
 
 
それが受意の言葉だった。
がくぽは勇馬の身体を抱きかかえると、片手一つで浴衣帯を解いた。
撫で肩の勇馬の肩から支えがなくなった浴衣がゆっくりと滑り落ちる。
勇馬の後ろのガラスに、浴衣が滑ると同時に露わになっていく鳳凰が映っていた。
そっと背中に手を回して、鳳凰の頭部分を撫でる。
甘美な感触に勇馬が身を震わせるのと同時に、鳳凰も同じように歓喜の舞を舞う。
するすると、鳳凰の喉元から胸へ、尾羽根の先へと指を滑らせる。
尾羽根の先は勇馬の菊座に伸びていた。
慎ましく愛らしいそこを軽く指でなぞる。
「ぁんっ!!」
慣れない感触に勇馬の身体に力が入る。
初な反応にほっとするのと同時に、笑みが広がった。
「まだ、処女か・・・。大事にとっていたようだな」
「僕、女のコじゃないですよ・・・」
女みたいに言われたのが面白くなかったのか、勇馬は頬を膨らませた。
子供っぽい反応に笑って、がくぽの指の先が勇馬の菊座の中に入り込む。
「あんっ!!」
「同じ事だろう。これから雄を入れるのだ。この俺のものを挿れるのだからな、下手な奴の味を覚えたものよりも、未通の方がよほどいい」
「あ、あ、あ、あ、あ!!」
言い聞かせながらがくぽの指は勇馬の中で激しさを増して暴れまわる。
今まで感じたこともない快感に勇馬の身体がビクビクと痙攣したように震えた。
と、勇馬の目が驚愕に大きく見開く。
自分の体の変化に気がついて、悲鳴を上げた。
「えっ?!な、何これ!?なんで、こんなに!?」
「どうした?」
「が、がくぽさん、指止めて!!僕、変になっちゃいました!!こんなの、どうしたら良いの・・・?」
「だから、どうした?」
「あ、あの、あの、僕の、あの、あそこが・・・」
恥ずかしいのか顔を真赤に染めながら勇馬がおずおずと申し出る。
一瞥したがくぽは思わず吹き出しそうになった。
勇馬の花芯は快楽に反応してほとんど身体に引っ付くような形でそそり立っている。
男なら当然の生理反応だが、大事に育て過ぎたせいだろうか。勇馬にとって初めての経験らしい。
初潮を迎えた生娘の様に狼狽する勇馬に笑いを堪えるのが苦しい。
任侠の家にいながら、この歳になるまで勃起を経験しない男など天然記念物級の純粋培養に等しい。
「な、なんで笑うんですかぁ!?」
「そうか、自慰もしたことがなかったのか・・・。ククク、フハハハハ」
とうの昔に童貞を捨て切った上に、星の数ほどの女も男も抱いてきたがくぽだが、勇馬はその点においてのみ同じではなかったらしい。
だが、勇馬はなんでこんなにがくぽに笑われるのがわからない。
とことん初な勇馬にがくぽの笑みに別の色が浮かぶ。
鳳凰が隠れるのは少し惜しいが、せっかくの通過儀礼だ。きちんと済ませてやろうと、勇馬を布団の上に横たえる。
今や痛々しいほどにそそり立った花芯に息を吹きかけながら、そっと芯をくるんでいる薄皮に手を触れる。
「貴重な処女喪失と割礼だ。しっかり覚えておくといい」
「? ひっ!!」
がくぽの手がゆっくりと勇馬の花芯をしごき始める。
手の動きは徐々に緩やかなものから激しくなっていく。動きに合わせて薄皮が剥けて、生々しい亀頭から順にそれまで隠されていた芯が顕になる。
頭が真っ白になるほどの快楽とチリチリとした痛みに勇馬はよがり狂う様に泣きじゃくった。
「やあああああああ!!がくぽさん、手止めて!!駄目駄目、出ちゃう!!出したくないのに漏らしちゃうよぉ!!」
「潮時だな。いいぞ、たっぷり出してしまえ。遠慮無く漏らしてしまえ」
「やだやだやだやだ!!あっ!!アアッーーーーーーーーーーーー!!」
一際鳴いたと同時に、吹き出した精液が勇馬の腹から顔にかけて白く濡らす。
ベッタリと肌に染み付いた青臭いそれを勇馬は信じられない面持ちで見やる。
「ふええ、出ちゃった・・・。なにこれ、気持ち悪い・・・。ぼ、僕、病気になっちゃったの・・・?」
「本当に知らなかったとは、そんなのでよくまあ情夫になると口を利けたものだな・・・」
「だって・・・」
恥ずかしそうに勇馬が頬を染めて俯く。
好きだから何をされても構わないとでもいうつもりだったのか。この上なく可愛い仕草でそれを匂わせる勇馬にがくぽは頭を抱えた。
本当に、こんなのを側に置いたらシノギが疎かになる気がして仕方ない。下手をすると父上にまで見初められる恐れもある。
だったら、今のうちに自分好みに、自分専用になるまでに躾けるまでだ。
「その程度で雛鳥みたいにぴぃぴぃ喚くな。この際だ、身体で覚えてしまえ」
がくぽの足が勇馬の花芯を腹と足の裏で挟みこむように押さえこむ。
そのまま足を前後にずらして、扱き上げた。
手でされる時とは違い、ほとんど摩擦と体重をかけてしごかれる暴力的な快感に吐き出したばかりにも関わらず、勇馬の花芯はまた頭をもたげ始めた。
「や、やめてぇ!!がくぽさん、そんなしないで!!また出ちゃう、そんなされたら・・・、ああぁぁぁん!!」
二度目もあっけないほど簡単に達した。
だが、がくぽの足の動きは止まらない。
萎えたばかりにも関わらず、強制的にすぐ勃ち上がらされてしまう。
「いやあああああああああ!!がくぽさん、お願い!!もう止めてぇ!!もう無理!!おかしくなるぅぅぅぅ・・・!!」
「だんだんこなれてきたんじゃないか、勇馬。良い感じに腰が動き始めてきたぞ。せっかく、組の男どもでも踏んでほしい者が絶たない俺の足で楽しませてやっているんだ。ありがたく思え。・・・ああ、そうだ」
思いついた様にがくぽの手がお留守になっていた勇馬の足に伸びる。
持ち上げて目の前にかざすと、快楽に反り返った指先は爪が小さくて可愛らしい。
その小さな爪にマニキュアを塗るように、がくぽは舌を這わせた。
「ひっ!!やめ、そんな、きたなっ!! ああんっ!!」
「また達したな。枯れ果てるまでこっちの方をかわいがってあげよう。気にせず安心して開放の快楽を楽しむがいい・・・」
「やめて!!そんなの無理・・・っあ!!」
話している間にもまた勇馬の花芯は蜜を吹き上げる。
ほとんど色が薄くなってもなお、暴力的な快楽は止まらなかった。
 
「さすがにもう出ないか・・・。たくさん出したな、勇馬」
「う・・・」
一体何度果てただろう。もはや勇馬の花芯はいくらしごいても一滴も出てこない。
勇馬の腹の上にベッタリと乗った精液をがくぽが指ですくい取る。
抱え上げて浮かせた勇馬の菊座に精液で濡らした指を躊躇なく突き入れた。
「ひっい・・・、?いたく、ない?」
「これだけしとどに濡らしたのだ。痛いわけがあるまい。・・・うむ、そろそろ頃合いだな」
大分ほぐしてきたが、最初はビクビクしていた勇馬ももう気持ちよさそうな表情を浮かべこそすれ、痛がる様子は微塵も見えない。
自分の浴衣帯を解くと、前身頃が開けて鍛え上げられた身体と痛々しいほどにそそり立った雄が顕になった。
勇馬の体を支えて、自分と向合わせになるよう菊座に自身をあてがう。
「ひっ!!」
圧倒的な質量と熱を持つそれに勇馬の体が反射的に震える。
そっと勇馬の髪を撫で梳きながら問いかけた。
「怖いか?」
「・・・いいえ」
怯えた様子を抑えて、勇馬は頭を振った。
ずっと夢見てきたことだった。兄を慕うのとはまた違う、本来なら抱いてはいけない気持ちを受け入れてくれるといってくれた。
恐れることなんて、何もない。
勇馬は幸せそうにニッコリと笑った。
「嬉しい・・・」
「全く・・・。本当に可愛いことを言う・・・」
健気な勇馬を愛でるようにがくぽは勇馬の唇を吸った。
甘美な口付けに勇馬の表情が緩んだ一瞬、がくぽは己の欲望を勇馬に突き入れた。
「っ!!」
銛で体の中を貫かれるような衝撃に勇馬は身を引き攣らせたが、それも最初のうちだけで、後から付いてきたのは信じられないほどの強烈な快楽だった。
さっき吐精した時の快楽とは比べ物にならない。
身体が弾けて吹っ飛んでしまいそうなくらい気持ちが良かった。
「あ、あ、ああぁ・・・」
快楽のキャパシティが大きすぎてまともに口も利けない。
ただ、自分の菊座でしっかりとがくぽのものを銜え込んでいるのだけがうっすらとわかる。
快楽に反応して小さく身動きするたびに、勇馬の鳳凰は華麗に鮮やかさを増す。
上気して火照った身体に浮かぶ鳳凰はまさに神懸り的な美しさを漂わせていた。
今まで大事に籠の中で育ててきた雛鳥が、昇華して鳳凰に転生した瞬間でもあった。
眩しいほどの成長に思わずがくぽは勇馬を掻き抱くと、その腕に収めたまま喰らいつく勢いで勇馬を抱いた。
「んあぁ・・・、はぁあああああ・・・」
互いの肉が相うつ音に混じって勇馬の鈴を振るような媚声が響く。
互いの背中の鳳凰と龍が激しく睦み合い、龍が鳳凰を喰らわんとするかのような残酷な光景に見えたが、それすら邪道とも言える背徳的な淫靡さを醸し出していた。
数多くの女や男を抱いてきたがくぽだが、勇馬ほど甘美な快楽をもたらす身体を他に知らない。
一突きするたびに勇馬の体は最高の快楽をがくぽにもたらした。
いつしかがくぽも我を忘れて勇馬の体を貪っていた。
迸る快楽に身を任せ、求めるまま、持てる全てを勇馬にぶつけた。
「・・・くっ!!」
「!!あああああああああ、ああああああああああああああーーーーーーーーーーーーー!!」
奥へと感じる蕩けるほどの熱量に、勇馬は甲高く鳴いた。
 
臥竜鳳雛という言葉が存在する。
眠っている竜、鳳凰の雛を意味し、才能があるにも関わらず陽の目に当たる機会がないことを例えて用いられた。元は二人の人間それぞれを例えた言葉だったという。
任侠の世界に現れた龍の開眼は早かった。
龍は自分の対となる鳳凰の雛を探していたかのように、不思議な星回りの元に巡りあった。
 
 
一夜が明け、腕の中の雛鳥を見つめながらがくぽは思案を巡らせる。
もう手放すことは諦めた。
しかし、この子の才能を生かさず自分の籠の中で囲っていくのはあまりに惜しい。
どうしたものか、悩んでいるとゆっくりと勇馬が瞼を開く。
「あ、おはようございます・・・」
「おはよう、勇馬」
昨日あれだけよがり狂ったとは思えないほど、天然かつ無邪気な反応にがくぽも思わず相好を崩す。
乱れた髪を整えてやると勇馬は嬉しそうにくしゃりと笑った。
「ねえ、がくぽさん・・・」
「なんだ?」
「散々勝手なことして、ワガママばっかり言ってきたんですけど、最後にもう1個、がくぽさんを怒らせてしまうかもしれないけど、ワガママを言ってもいいですか?」
甘えたように言ってくる言葉が心地良い。
撫でながら小さく笑ってしまう。
「今更遠慮するな。組の連中に言わせると俺は充分勇馬に大甘らしいからな。これ以上甘えても同じ事だ。それで?ワガママとはなんだ?」
あっけないほど簡単に聞き届けてもらえたのが意外だったのだろう。勇馬が一瞬きょとんとしたが、すぐに表情を持ち直すと内容を切り出す。
「はい。僕を、大学に行かせて下さい」
「大学に?もう進路を決めたというのか?」
ついこないだ高校に入学したばかりだというのに、気が早い。
勇馬はがくぽの言葉にしっかりと頷く。巷の高校生と違って生半可な気持ちで大学受験を決めたわけでは無さそうだ。
一息ついて勇馬は進路を口にする。
「大学の法学部に入って、弁護士になろうと思うんです」
「・・・・・」
この言葉にはがくぽも思わず虚を突かれた。
この業界では法律に関するスペシャリストには事欠かない。組によってはお抱えの顧問弁護士がいるところもある。
どんな強面の任侠でも、一度しょっぴかれて一生を刑務所で過ごすのでは意味が無い。
優秀な弁護士の有無で任侠の一生は決定すると言っても過言ではなかった。
それに表社会と裏社会を行ったりきたりできる稀有なカタギでもある。
「動機はちょっと不純だけど、今まで僕がここで過ごしてきた日や経験は絶対に無駄じゃないから、どうせならそれを存分に生かしてがくぽさんのお役に立てたらいいなって思ったんです。ただ、司法試験に合格するのと法学部はちょっと学費が高いから、さすがに僕だけの力じゃ無理かなと思って・・・」
にっこり笑って言う勇馬の表情は幼い頃のまま、汚れを知らない無垢なままだった。
いや、勇馬はもう守られてばかりの雛鳥ではない。
この一晩で驚くほど見事な鳳凰を背負うのに相応しい青年に成長した。
それだけの事がたまらなく嬉しい。
がくぽは勇馬を招き寄せるとその胸に抱きしめた。
 
「・・・ありがとう」
こんな自分を慕ってくれて。
こんな自分を愛してくれて。
こんな自分に最高の喜びをくれて・・・。
 
 
十年後、陰種座に新しく若い顧問弁護士が着任した。
彼の背中には見事な鳳凰が描かれている事を知っているのは、組頭だけだった。

拍手[3回]

PR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
 管理人のみ閲覧
 
Copyright ©  -- 黄昏の歌、我が背子 --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Material by 妙の宴 / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]