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VOCALOID小説サイト『黄昏の歌』の別館です。 健全な表と違い、こちらはBL・及びR指定腐向けです。 読んで気分を害されたなどのクレームはお受けできませんのでご了承ください。 閲覧は自己責任でお願いします

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時代劇パロ・番外編その2
時代劇パロ番外編その2です。

今回はピコたんが殿に仕えた頃の過去話。
攻めキャラ同士のぶつけ合いってなかなか過激ですねぇwww
【六花汚不能】
 
越後藩主・神威がくぽがまだ藩主でなく、跡取りの若君だったころ、一人の少年を見出した。
先日、台頭してきたばかりの歌手音家の一人息子で、色も白く、娘御のように華奢な体付きをしていたから「姫和子」などとあだ名されていた。
体もそれほど丈夫という訳でもない、その少年を神威の若君が引き取ったと知った家臣団は陰で口々に囁き合った。
「また、若の悪い癖が始まった」、と・・・。
 
越後の冬は舞い落ちる雪で一面が白く染まる。
しんしんと音も立てず庭に降り積もる雪を、引き取られた歌手音家の一人息子、ピコは眺めていた。
「ピコ、帰るぞ」
「はい・・・」
寺で住職と話をしていたがくぽが戻ってきてピコに声をかける。
ずっと外で待っていたピコの白い頬は微かに赤みがさしていた。
「また、雪を眺めておったのか。中で待っておればよいものを・・・」
「いいんです。雪は好きですから・・・」
引き取って以来、がくぽはピコを小姓分としてどこに出掛けるにも供をさせたが、いつもピコは待っている間雪を眺めていた。
体に障るからと言っても、ピコがそれを聞いたためしがない。
むしろ、逆に無理強いして部屋で待っているよう命じると、今度は火鉢の炭灰を吸いすぎたようでひどい肺炎を起こした。
別段外で待っていても風邪をひくこともなかったから、がくぽも無理強いをすることはしなくなった。
いつも通り、言われる前に雪を払いのけておいた石畳の上にがくぽの履物を揃える。
目の前にそろえられた履物に足を通して、がくぽは顔を上げた。
長く外に置いてあったはずの履物なのに、それにしては温かい。
「下駄が温かいな・・・。どこに置いておった?」
「こちらで、お預かりしておりました」
そう言ってピコは襟元の重ね目、心の臓の場所を示す。
帰ってきた主が帰る時に足が寒くないよう、懐に入れて温めておいたのだろう。
素直に「懐に」、と言わず、胸元を示して忠誠心、真心を示す機転も小気味がいい。
その機転にがくぽは満足そうに微笑んで、優しくピコの頭を撫でる。
「そなたは、本当によく気が利く。賢い子だ・・・」
「・・・」
褒められたピコは女性と見まごうばかりの容貌いっぱいに笑みを浮かべる。
陰ではピコをその容貌から「若殿の色子上がり」と揶揄するものは耐えないが、がくぽがピコを召し抱えた本当の理由はこの才気豊かな所だった。
最初出会った時も、接客の為に茶を入れたのが始まりで、遠路はるばる尋ねた客人にピコはぬるめで味の薄く淹れたお茶を出した。
家臣はぬるいお茶に不満たらたらだったが、がくぽはすぐにそれを飲み干し、代わりを淹れてくるよう命じた。
すると、ピコはさっきとは違う、少し熱めに味が普通の濃さに淹れたお茶を運んできた。
これも飲み干して、更に代わりを持ってくるよう命じると、今度はとても熱く味も濃く淹れたお茶を持ってきた。
渇いた喉に熱くて濃いお茶を持ってきても喉の渇きは癒えないし、お茶の味もわからない。
ピコはそれを熟考したうえでお茶を出していた。一杯目にぬるめの薄いお茶を出された時点でそれに気が付いたのはがくぽだけ。
その気の利いた賢さが気に入り、がくぽはピコを側に置くことに決めた。
がくぽはこの利発な美少年を気に入り、望むものは自分の力の及ぶ限りなんでも与えた。
ピコもがくぽが自分に寄せている期待に応えようとしているのか、主に本や知識を貪欲に求めた。今はまだその立場にはなれないが、ピコが家臣になった暁には辣腕家としてその才をふるう事だろう。
その時が楽しみでもあるが・・・。
「・・・・・」
「若殿?いかがなさいました?」
急に足を止めたがくぽをピコは振り返って雪よけの傘を持ち直す。
がくぽは手を伸ばしかけたが、その手をややあって引っ込めた。
「・・・いや、早く帰ろうか」
「はい・・・」
がくぽが歩き出すと、ピコもまた大人しく後に従う。
二人歩いた足跡は雪に覆い隠されて消えていった。
 
「はぁっ・・・、殿・・・」
「・・・・・」
悩ましい声を上げる側室に構わず、がくぽは心ここにあらずで機械的に快楽を貪っていた。
障子の向こうで降り積もっているであろう雪がピコを思い起こさせてならない。
微笑みかければ好ましくも美しい姿を見せてくれるが、触れようとするとその手から逃げるようにすり抜けていってしまう。
絶対に意のままにならない。支配しているはずなのに支配していない孤独感。
確かに日に日に成長していくピコを見るのは楽しいし、喜びでもある。
だが、大きくなっていくに連れ自分の元から離れていってしまいそうな気がするのは何故だろう。
一度考えるともう頭から離れられない。
がくぽは側室から体を起こすと、呼び鈴を鳴らす。
「ピコ、おらぬか?」
「はい。お呼びでございましょうか?」
呼びだすと、ピコはすぐさまがくぽの元へやってきた。
改めてみると、男とは思えない、いや、女でもピコ程整った顔を持つ者はいないだろう。
まだ発育途中の両性具有とも言うべき未熟な美しさがピコから漂っている。
まるで子供を手籠めにするような背徳感にがくぽはピコを呼びだしたことを後悔した。
だが、呼びだした以上後には引けない。手にした扇子で招きよせる。
「こちらに、参れ」
「はい・・・」
招かれるがままにピコはおとなしく側にいざり寄る。
内心、ピコが拒否して逃げてくれることを期待していたが、ピコはまっすぐこちらに向かってきた。
こうなった以上、もはや取るべきは一つだ。
「っ!!」
手の届く距離まで近寄ってきたピコの手を掴むと、その場に押し倒す。
一瞬驚いて目を見開いたピコだが、その瞳は穏やかにがくぽを映していた。
「我の夜伽を務めよ・・・」
言うなり、がくぽの手はピコの襟足に伸びてその体を肌蹴させた。
だが、ピコは抵抗もせずただされるがまま、がくぽが脱がせるに身を任せ、純白の白い肌を惜しげもなく外気に晒す。
雪のように寒々しいほど白い肌はがくぽが触れても微動だにしなかった。
されるがままのピコにかえってがくぽの方がたじろいでしまう。
「・・・拒まぬのか?」
「拒んでも拒まずにいても同じことでしょう。わかっているのは、俺の心は若殿の手には入らぬという事だけでございます」
「!!」
ピコの言葉にがくぽは突き放されたように身を引いた。
抑えるものが無くなったピコはゆっくりと起き上がってがくぽを見据える。
その目はうつろで、何の感情も浮かんでいない。
雪のように一点の穢れもない無垢さがかえって恐ろしかった。
わかっている。今は、ピコの方が人間的にがくぽよりも上なのだ。
だが、負けを認めてすごすご引き下がるのは自らの沽券に係わる。
小癪まれた口を食いちぎりそうな勢いでピコの唇を奪った。
「んうっ・・・」
ピコの口から苦しそうな吐息が漏れる。
見ると息が苦しいのか、白い頬を紅潮させている。
そうだ、今はただそうやって喘いでいればいい。
舞い落ちる雪が音を吸い取っているのか、ピコの吐息以外何も聞こえない。
小娘のような甘い吐息を耳にしながら、男の弾力の強い唇の味に溺れていった。
 
それから数年後、がくぽは先代の後を継ぎ藩主に、ピコは筆頭家老として出世した。
そして、かつてピコが務めていたがくぽの小姓役は・・・。
「おお、勇馬来たか。ちこう寄れ」
「・・・はい」
「・・・・・」
慎ましくも凛とした若武者と呼ぶにふさわしい好青年をがくぽは愛でながら、傍らで控えているピコに視線を凝らす。
若い頃は少しも気づかなかったピコの心の揺らぎが面白いくらい手に取るようにわかる。
激しい嫉妬と矜持がピコの中で渦巻いて、今にも壊れてしまいそうだ。
痛々しいほど傷ついたピコの心中を察して、がくぽは薄く笑みを浮かべる。
(さあ、早く矜持などかなぐり捨てて欲しいものを取りに来るがいい。その時は・・・)
無垢な躰が自分の手で汚され、染められ上げる様を思い描いたがくぽの表情は禍々しくも美しい。
 
(お前の身も心も全て、我のものにしてやるから・・・)

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