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VOCALOID小説サイト『黄昏の歌』の別館です。 健全な表と違い、こちらはBL・及びR指定腐向けです。 読んで気分を害されたなどのクレームはお受けできませんのでご了承ください。 閲覧は自己責任でお願いします

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時代劇パロ続き
時数の関係でぶった切った前作の続き物です。
一応、大団円・・・になったのかな?
【脇差小姓唐猫廓掛】

それからしばらくして、がくぽの正式な官位任官を祝う宴が城内で催された。
今宵ばかりは家臣ともども無礼講として、大変な乱痴気騒ぎになった。
側にはべらせた勇馬に酌をさせていたがくぽも満足そうに騒ぎを眺めている。
ふと、視線に気が付いて顔を上げる。
案の定、いつまでたっても攻撃的な目線をやめないピコにがくぽはうっすらと微笑んだ。
この才気あふれる冷静な青年は中に激しいものを秘めている。
仕えた時からその美貌と才知に目をかけていたが、他の家臣や小姓たちとも違いピコだけは頑なにがくぽを拒み続け、今の地位にのし上がってきた。
がくぽは父君から譲り受けた美貌と気性のため、異性であろうと同性であろうと激しく引き付ける魅力とカリスマ性を持ち合わせている。未だかつて意のままにならなかった者などいなかったが、ピコはまだ自分に屈服しない。それどころか、その手を一度手懐けた勇馬にさえ伸ばしてきた。
そして、勇馬はあっさりピコに溺れた。勇馬はまだ幼いところがあるから、自覚はしていないが、明らかにピコに惚れている。
あれほど素直に抱かれていたのが、急にがくぽを拒もうと押し返すようになってきたのがその証拠だ。
だが、嫌がるのを無理やり手籠めにして抱くのも嫌いではない。むしろ、嘆く勇馬は愛らしいし、倒錯した関係に翻弄される肢体を抱くのも一興。
いつ降参してもおかしくないピコを見るのはがくぽにとっても愉悦だった。
とっくに王手をかけて詰めているのに、ピコは投了しない。まるで逃げ惑う獲物を狩る気分だった。
だが、今宵のピコは狩られる立場ではない。逆に起死回生の一矢を報いる覚悟だった。
狙うはがくぽが勇馬を伴って閨に向かおうとするその一瞬、宴のどさくさに紛れて奥に勇馬と下がろうとするがくぽの側にピコはいざり寄った。
「殿、御休みになられますか?」
「久方の美酒に酔ったようだ。せっかくの月夜、閨で脇差を肴に静かに月見も悪くはない」
案の定、言葉の裏に隠語を含ませながらがくぽはほくそ笑む。
だが、これこそピコの狙い通りだったとはがくぽは知る由もなかった。
待ち望んだ返答にピコは用意していた台詞を口にする。
「月見の相手なれば、脇差よりも猫が適しておりましょう」
「猫・・・?」
ピコの意図する言葉が分からず、がくぽは怪訝な顔をピコに向けた。
自らを指して猫と呼ぶのは不自然だし、第一猫が当てはまるような存在など思い当たらない。勇馬を脇差に例えるなら、ピコは紛れもなく純白の白雪だ。
立ち上がり、ピコは奥の座敷へと案内を始めた。
ピコの執務室にあつらえた仮眠座敷の襖に手をかける。
「・・・!」
襖の向こうにいたのはがくぽと同じ年頃の青年だった。
顔を隠す白布の合間から藍色の髪と綺麗な青い瞳を覗かせている。
勇馬に似た雰囲気を持つが、こちらの方がどことなく頼りなげでなよやかな風情を漂わせていた。
「・・・ピコ、この者は?」
「私がお世話をしておりました、さる旧家の和子様でございます。やんごとなき身の上と、世間様に憚られるお方故、隠してお世話いたしておりました」
(なるほど、そう出たか・・・)
まさかこんな形で隠し駒を出されるとは思ってもみなかったがくぽは忍び笑いを漏らす。
ピコの屋敷に将軍家の血を継ぐ少年、確かレンとかいった、彼が行儀見習いで出入りしていることはがくぽも知っている。さしずめ、目の前の青年も将軍家の流れを継ぐ、血筋ある青年だろう。
ただ、この青年が嫡流から外れている秘密がこの身にある。それががくぽの関心を強くそそった。
「して、何故この方を我の目にかけた?そこまで隠れて大事にお育て申し上げた方を・・・」
「・・・殿にお譲りしたくお連れ申し上げました」
深く頭を垂れてピコは願い出る。
頭を垂れたピコの脳裏に昨日の記憶が蘇った。
 
 
 
「ならば、・・・僕が殿のお側にあがります」
「カイト様・・・」
「兄上!!」
その場に現れた青年にピコもレンも驚きを隠せなかった。
青年・カイトはとある理由からレンの兄でありながら、嫡流から外され、ピコの元で食客として養ってもらっていた。
カイトは音も立てずにピコの前に進み出ると、笑って申し出る。
「僕が、がくぽ様の妾になります。僕の父方の血筋からすれば文句ないでしょう。それに、勇馬のご実家である山羽家とは対立関係にあったのも事実、僕を迎える代わりに、勇馬を下賜いただくように願い出てください」
「そんな!兄上!!」
慌てて諫めようとするレンにカイトはにっこりと優しく笑って見せる。
「大丈夫だよ、レン。僕の秘密は露見してしまうけど、そういうことなら殿も変なものを掴まされたと思って諦めるだろうさ。献上品を無下に捨てることもままならないだろうし、どっちにしろ僕は隠れて暮らすしかないんだ。だったらせめて、お世話になったピコ様にご恩返ししておきたいんだよ」
あくまでも優しく慎ましげに申し出るカイトにレンは二の句が継げない。
レンもカイトの抱える問題はわかっている。それがある限り、こんなに利発で優しい心の持ち主でも表舞台に上がることは許されない。
「それに、これは勇馬のためでもあるんだ。殿のお側を離れて、ピコ様の元に来ない限り、勇馬の苦悩はずっと続く。それでは、ピコ様も勇馬も近いうちに壊れてしまうよ。だから、僕を殿に差し上げて下さい。僕一人でみんなが幸せになれるなら本望です」
「・・・本当に、それをお願いしてもよろしいのですか?」
さすがのピコもこの申し出に声が震える。
ピコはがくぽの恐ろしさを知っている。
仮にも由緒正しい血筋のカイトを差し出すのは憚られた。
だが、カイトは顔を上げるなり微笑んで請け負う。
「喜んでお受けいたします」
 
 
 
「この御仁、カイト様がご成長され、御弟君のレン様が屋敷に逗留されたため、私一人の力では隠しきれなくなりました。側仕えでも構いませぬゆえ、どうか、殿のお力でお匿い下さいませ。・・・ただ、条件として、カイト様のご実家と仇敵の山羽家出自である勇馬様を遠ざけていただきたいとの仰せです」
ピコの言葉に勇馬は驚き、がくぽは爆笑した。
いやにしおらしく下手に出たからどういうことなのかと思ったが、やはり目的は勇馬だったのだ。
なかなか面白いところを突く姦計に小気味よささえ覚える。
「くくく・・・、その秘密とやらはなんだ?日の目に当たらぬよう隠すとはよほどのことに違いなかろう。我に厄付を押し付けるつもりか?」
「いえ・・・、カイト様におかしなところ等微塵もございません!おかしいとすれば、これほどの方をうわべだけで判断する世の中でございましょう!!」
珍しくピコが語気を荒げて訴えた。
この言葉にがくぽはピコに一本取られたと小さく唇を噛んだ。
秘密とやらは探り出せなかったにのみならず、これを拒めば上辺だけで評価を下す下劣な人間と自分が同義にされてしまう。
それに、ピコが激高するほど心酔させるカイトの人柄に大きく心を揺さぶられたのも事実だ。それまで大人しく狩られるがままだったピコが反撃の狼煙を上げたのも、このカイトが入れ知恵して自身を質に入れるのを承知したからに違いなかった。
(勝敗としては・・・、痛み分けか・・・)
若干こちらの方が分が悪い気もしないが、負けを認めるのは悔しい。
それに負けか勝ちかを判じるのはカイトを味わってからではないとわからない。
「ピコ」
名前を呼ばれてピコが顔を上げる。
がくぽは抱えていた勇馬をピコに投げ渡した。
「我が脇差をお主に取らす。この猫君は今後我が世話しよう。下がれ」
言うが早いが、がくぽはカイトを抱えて自身の閨へと向かう。
その場にはピコと勇馬だけが残された。
「ピコ、様・・・」
ピコに抱えられた勇馬が小さくその名前を呟く。
事実上、勇馬は殿付きの小姓を解雇され、ピコに仕えることになったから左遷だ。
降格されたはずなのに、なぜか小姓仕えが決まった時よりも嬉しいのは何故なのだろう。
ピコの白さが目に染みて涙が止まらない。
ピコはそっと流れ出た勇馬の涙に口付を落とす。
「ごめんね、勇馬。随分待たせたね」
連日抱かれて泣き腫らしていた勇馬は最後に抱いた時よりもずっと軽くなってしまっている。
それでも、勇馬は健気にも頭を振って見せる。
「だい、じょうぶ、です・・・。ごめんなさい・・・、僕のせいで、ピコ様、カイト様にも辛い思いをさせてしまって・・・」
「・・・カイト様は、ご自分から望んで殿の元に上がられた。だから、勇馬が気にしなくていいと、仰られたよ」
ピコは勇馬を抱き上げると既に布団の用意をしてあった仮眠座敷に向かう。
純白の布団に勇馬の黒漆拵のような着物が広がった。
「もう、お前は俺だけのものだから・・・」
一体どれだけ待っただろう、ピコは待ちきれないように勇馬に口付る。
やはり、男に口付られるのは多少抵抗があるのか、勇馬は反射的に口元を強張らせた。
舌で勇馬の唇をなぞりながら、ピコは口元を緩めた。
ピコはもちろん、あれほど好色家のがくぽに抱かれながらも、まだ一向に色小姓で終わろうとしていない。もし、勇馬が戦国の世の生まれならいい若武者になっただろう。
刀のように一本気でまっすぐな気性は清々しくも、愛おしくもある。
がくぽはもちろん、ピコすらも虜にしたのは勇馬の健気さだった。
許すわけでもなく、それでいてとらえどころがない。その初心さがピコを捕えて離さない。
「・・・あっ!」
帯に手をかけたピコに勇馬が慌てて、その手を止める。
まるで必死に自分の身を隠そうとする行為、以前の勇馬ならこんなことをしなかったはずなのに・・・。
焦燥感に駆られたピコは問答無用で勇馬の襟首をつかむ。
「やっ!おやめください、ピコ様!!だめっ!!見ないで!!」
「っ!!」
勇馬の制止を振り払うように、ピコは一気に勇馬の襟元を肌蹴させた。
直刃のようにしなやかで真っ白な勇馬の肌には返り血のように赤い痣があちこちに浮かんでいる。
がくぽによって刻まれた情愛の刻印、恥ずかしむべきところを露わにされた勇馬は顔を真っ赤にさせて背けた。
これにはさすがのピコも不快感をあらわにした。
たった今から勇馬はピコのものになったはずだ。その勇馬に他の男の刻印が刻まれるなど断じて許されることではない。
「ひっ!!っうん!!」
いきなり分身を握り、しごかれて勇馬は悲鳴を上げるが、その悲鳴すらさらなる刺激で塗りつぶされてしまう。
ピコは勇馬の分身をしごきながら、がくぽによって刻まれた刻印をかき消すように勇馬の体に口付を落としていく。
「っ!!」
電気が走るような刺激に勇馬の体が微かに跳ねる。
ピコが唇を離したそこからは小さく血がにじんでいた。
舌で勇馬の血を舐め取ると、勇馬の躰には耐えがたい刺激が迸る。
今にも絶頂に達してしまいそうなのに、ピコが分身を扱いては握り締めるの繰り返しをするせいで達するタイミングを微妙に逃してしまう。
一つ、二つ、三つ、と一つずつがくぽの刻印がピコの刻印に塗り替えられる度、勇馬のものは暴発寸前まで膨張していた。
それまで素直に快楽に身を委ねるだけで良かった勇馬にとってこの状況は辛かった。
「や、は・・・、ピコ、さまぁ・・・」
傷よりも欲望に蓋をされる苦しさに勇馬は涙目になってピコに訴えかける。
だが、ピコは勇馬のものを開放するどころか、より強く握り締めた。
「ひぎっ!!」
「はしたないよ、勇馬。俺がイイっていうまで、漏らしたら怒るから」
「そんな・・・、あうっ!!」
抗議しようとした瞬間、更に強く握り締められて勇馬は息をつめた。
快楽に素直な勇馬はピコにとって必要ない。
ピコにとって勇馬はもっと慎ましげで、操立てしているような貞淑感を持ちつつも、それを倒錯させてよがらせる方が一番綺麗に映るものなのだ。
以前はがくぽへの忠誠心からピコを拒み、その拒絶故乱れた時は非常に美しかった。
今はがくぽへの忠誠を気にしなくてもいいから素直でも問題ないのだが、仮にも初夜になる今回でそれだと面白みにイマイチ欠ける。
どうしたものか、考えていたピコの脳裏にあることが思い浮かんだ。
くすり、と口元を緩めると自身をとりだしながら勇馬に優しく囁きかける。
「今から入れるよ、勇馬。これでお前は俺のものだ。帰ったら祝言にしよう。もちろん、勇馬の姉君も参加いただかなくてはね」
「・・・ねえ、さま・・・!?」
それまで熱に浮かされていた勇馬の目が一気に生彩を帯びてきた。
「ピコ様!姉様に何をするつもりなのです!?」
「何もしないよ。ただ、仕え先が殿から俺に変わったこと、脇差小姓から色小姓になったってお伝えするだけさ。心配しなくても、俺の所の色小姓には殿の脇差持小姓の倍の給与を出す。姉上のミズキ様もさぞお喜びだろう。『可愛い勇馬が腰を振ってくれるおかげでいい暮らしに戻れる』ってね」
「姉様・・・、そんなこと!姉様が言うはず・・・、うっ!」
気丈に跳ねのけようとした勇馬の脳裏に、普段思い出さないようにしていた、城仕えが決まった時に見送ってくれた姉・ミズキの顔がよぎって涙がにじむ。
ミズキは山羽家に伝わる脇差を勇馬に渡しながら何度も言い聞かせた。
『元気で、幸せになって立派な侍になるのですよ。私はいつでも勇馬を見守っていますからね・・・』
「ねえさま・・・」
(ごめんなさい、姉様・・・。約束したのに、僕は、勇馬はこんなことでしか、立派な侍になれそうにありません・・・)
泣きながら大好きな姉に詫びる勇馬を前に、ピコは勇馬の両足を大きく広げて固定させる。
菊座にピコのものが宛がわれる感触に、過去から一気に現在に引き戻された勇馬は凄まじい不貞さを感じて、死ぬ物狂いで抵抗した。
「いっ、いやです!!ピコ様!!おやめください!!」
「ふうん、殿はいいのに俺はいやだって訳?」
「もう、こんなっ・・・!!」
(男に抱かれるなんて、嫌だ・・・)
だが、勇馬の思いとは裏腹に、慣らされた体は素直に開いてピコのものを受け入れていく。
菊座に触れるか触れないかの状態で、ピコは勇馬の腰を掴むと一気に奥まで自身を差し込んだ。
「あっ!!ああああーーーーーーーーーーーーーーー!!」
菊座から内部を陵虐される感触に勇馬は悲鳴を上げた。
前戯なしなのに、体はすっかり慣れ切ってしまって快楽を感じてしまうから悲しい。
まるで男でありながら女にされてしまったようで情けなかった。
奥まで入ったのを見届けて、ピコようやく勇馬を戒めていた手を放した。
手始めに軽く腰を引いてやると・・・。
「あっ!!」
嬌声と共に、勇馬のものから飛沫が飛び散った。
それも、一気に全部出るような感じではなく、快楽の度合いに応じて出る量が決まっているようだ。
試に今度は前立腺を刺激するように腰を打ち付けてやる。
すると・・・。
「あああああん!!」
先程より勢いづいて出た精液が勇馬の顔を濡らす。
淫靡かつみだらな勇馬にピコの表情に自然と笑みが広がった。
「・・・面白い。なんてみだらな躰なんだ。これで色小姓扱いじゃなかったなんてもったいなさすぎる。これは、相当派手に祝言をあげないといけないな」
「い、いやだ!!姉様!!」
幼子のように泣きじゃくりながら姉を呼ぶ勇馬は憐れなほど愛おしい。
今までは真面目一途さに隠されて見えなかったが、その鞘を払ってみれば愛らしいほど優しく素直で家族思いの青年像が露わになる。
まっさらな状態を晒した勇馬はがくぽでさえも目にしたことがない、それは紛れもなくピコだけのものだ。
次に抱くときはまた勇馬は違う顔を見せるだろう。
それが何とも楽しみである。
(もう、俺なしでいられないくらい調教してあげるから、勇馬・・・)
「あっ!あっ!あっ!ああっ!!あああっ!!!」
休みなく奥を突くたびに勇馬の口から悩ましい悲鳴が迸る。
奥を貫くたびに、勇馬のものは面白いくらいに樹液を何度も噴き上げた。
勇馬は自身が噴き上げた精液で顔と言わず体と言わず真っ白に染め上げられている。
白無垢と呼ぶにふさわしい、見事なまでの白化粧だった。
それと認識した途端、ピコのものも急速に硬さと大きさを増す。
「くっ!」
「ピコ様ぁ、ああああああああああああああ!!」
最奥に熱い迸りを受けて勇馬はあられもない声を上げた。
 
 
「勇馬、お前はもう俺だけのものだ・・・」
 
 
 
 
「こちらへ参られよ、カイト」
ピコたちと別れて、奢侈だが、こざっぱりとしている部屋に通されたカイトは拍子抜けしながらもがくぽの後に続く。
部屋の雰囲気もそうだが、がくぽ自身もカイトを丁重にもてなして大事に扱ってくれる。まるで貴重な客人か何かのような気分だ。
少なくとも、ピコが普段言っているような冷血漢には到底思えない。
元々人懐こい性格だったこともあってか、カイトは案内されるまま素直にがくぽに付いていった。
部屋を抜け、渡り廊下を通り、行き着いた先は庭園に面した小さな茶室だった。
四畳ほどの男二人が入るには少々手狭な空間だが、居心地としては悪くない。
がくぽはあかりを付けず、部屋の障子戸を開け放つ。
差し込んだ月明かりが茶室を青白く照らした。
「わあ・・・」
月明かりの浮かんだ庭の美しさにカイトは思わず感嘆の声を漏らす。
動と静を基調として造り上げられた庭は流れる水と盤石な岩が対比を成して美しい。
無邪気に喜ぶカイトにがくぽも満足そうに微笑む。
「ここは、我が許可したもの以外立ち入ることを許されぬ空間だ。いうなれば、これが我の秘密の場。家臣はおろか正室にも見せたことのない光景だ。どうだ?美しかろう?」
「すごい!こんな素敵なもの、僕初めてだ!」
興奮冷めやらないカイトにがくぽは扇子を手に薄く笑みを浮かべる。
「褒めに預かり光栄・・・。なれば、そなたの秘密も見せてもらわねばな!」
そういうが早いが、がくぽの扇子がカイトの被せ布を取り払った。
「あっ!!」
慌てて宙に舞い落ちる被せ布を掴もうとカイトは身をよじるが、遅かった。
被せ布の下から露わになった耳にがくぽは目を疑う。
月明かりに照らされたそれは、人のものではなく、青い毛におおわれた猫のものだった。
急いで被せ布を被りなおそうとしたカイトの手を捕えて、がくぽは食い入るように奇怪な耳を凝視する。
「そなた・・・、それが、そなたの秘密であったのか・・・」
「・・・」
食い入るように凝視されてカイトも顔を伏せる。
やんごとない身分に生まれたカイトだったが、生まれながらにして普通の人とは異なる猫の耳を持った、言うなれば異形の存在だった。両親が愛情を注いでくれても、他の者の好奇の目だけは避けられない。陰で「化け物」と呼ばれて嫌な思いをするたび、何度も親に泣きついた。
いっそ辛い思いをするならと、両親はカイトを世間の目から遠ざけたのだった。
覚悟の上で身を捧げたカイトだが、それでも蔑まれた目で見られるのかと思うと悲しくなる。
最初はさすがに予想もつかない事実に愕然となったがくぽだったが、徐々にその表情が新しい玩具を得た子供のように緩んでいく。
「なるほど、それで猫か・・・。やっとわかったぞ・・・」
がくぽの手がカイトの細い喉に触れる。
喉から顎にかけてのラインを逆撫でるように撫でられるくすぐったさにカイトは身をよじった。
「やっ、ふぁ、ん・・・」
「まこと、猫のようだのう・・・。そんなに撫でられるのが心地よいか?」
「別にそんなわけじゃ・・・、ふにゃあんっ!!」
いきなり耳を甘噛みされてカイトははしたない声をあげてしまう。
猫のように元気よくぴこぴこ動く耳は人間のそれよりも感触に敏感だ。
それもがくぽの甘噛みは普通ではない。
唇で挟み、舌で押し付けるようにして噛むような甘噛みはかつて何人もの妾を骨抜きにした強烈なものだ。
今にも絶頂に達してしまいそうな刺激にカイトは身をわななかせる。
震えるカイトの体をがくぽは撫でさするように優しく抱える。
向かい合わせになるように座らせながら、がくぽはカイトの体を撫でた。
こうされると本当に正真正銘の猫になってしまったような気がする。
がくぽは優しくカイトを撫でさすりながら、その顔を見つめる。
「その齢まで経験もなかったのか。ままならぬとはいえ、不憫なことであったな・・・。確かに、ピコの申していた通り、そなたが日陰に徹するのはあまりに不憫だ。こんなにも・・・愛らしいのに・・・」
がくぽの手がカイトの頬に触れる。
その手があまりにも優しくて、カイトも触れられたままうっとりと目を細めた。
思えば、こんな風に優しく撫でられたのなんて父親に撫でてもらった以来かもしれない。
しばし、その感触に酔いしれているとがくぽがその唇を塞いだ。
「んっ・・・」
ふわりと包み込むような甘美な口づけにカイトは薄く目を開く。
目の前に端正な容貌のがくぽの顔があった。
こうして間近で見てみると本当に綺麗な人だとカイトは思ってしまう。
男に言うべき台詞ではないが、これくらいしか形容できる言葉は見当たらない。
「・・・気に召さぬか?」
目を開いていたカイトにがくぽは微かに唇を離して問いかける。
気に召さないなんてとんでもない、むしろ気持ちよすぎるくらいだったのに中断されるなんてあんまりだ。
カイトは勢いよく首を横に振った。
「い、嫌じゃない!!もっとやって!!がく、殿の口づけ、僕は好きだから・・・」
素直に申し出るカイトにがくぽは思わず相好を崩す。
なんという天真爛漫さだろう。身分が高いと聞いてはいたが、ここまで無邪気で素直だと憎めないから不思議なものである。
「茶室に移動して正解であったな。家臣どもに聞かれれば口のきき方が無礼として、仕置きをされておったやも知れぬ」
「あ・・・、も、申し訳ありません」
つい砕けた喋り方をしてしまったことに気が付いたカイトはしゅんと項垂れる。
愛らしい猫耳も頭に合わせるように垂れてしまう。
それがまたなんとも可愛らしい。
穏やかに微笑んで、顔を上げさせるようにその髪を撫で梳く。
耳に手が触れる度、くすぐったかったが不思議と心地よくておとなしく撫でられ続けた。
「カイトは素直だな。優しくすれば甘え、快楽を与えればよがる・・・。いい子だ」
「・・!!ん!」
褒められてカイトが頬を染めたと同時に、再びがくぽが口づけた。
さっきの優しく包み込むような口づけとは対照的に、今度は容赦なくカイトの口内に舌を這わせその口内を蹂躙する。
逃げ惑う舌を捕まえては裏側を愛撫したり、吸い付いて自らの口内に引き込もうとしたりと絶妙な手練手管にカイトはただ翻弄され続けた。
まるで口の中を犯されているような感覚にカイトの体は熱を持ち始めてしまう。
「ん、あ・・・」
唇を離すとまじりあった唾液が糸を引いて切れる。
カイトはなおも物欲しげに舌を伸ばした。
「それほど、我の口づけはお気に召したか?」
「うん・・・」
熱にうなされたまま、ぼうっとした頭でカイトは頷いた。
こんな甘美な刺激は生まれて初めてだ。
行為に慣れ切ったものでさえ、がくぽの愛撫を受けて酔わないものはいない。
ましてや、初心なカイトにとって麻薬も同然の刺激に等しかった。
もっと、欲しい。もっといっぱい与えて欲しい。
とろけきったカイトを前にがくぽも薄く笑みを刷いた。
最初見た時から経験がない、まだ手垢の付いてない存在だとは気づいていたがこれほどの逸材だったとは・・・。
今まで何人もの童貞・処女を抱いた経験のあるがくぽだが、カイトほど感度が良く快楽に素直な者はいなかった。
その上、見た目にもカイトは華があるし、なによりどこか甘えたような声ががくぽの耳にひどく心地よい。がくぽにとって声は何より重視するところである。それが性欲の対象なら外すことのできない重要点でもあった。
がくぽはカイトの喉に手を伸ばす。
猫にしてやるように喉元をくすぐってやるとカイトは可愛らしい仕草で気持ちよさそうに目を細めた。
次第に喉元をくすぐっていた手は徐々に下がって胸元へ、がくぽのたくましい指はカイトの襟足を肌蹴て、白い肌を月下に晒していく。
「やぁん・・・」
指で乳首を押されて、痺れるような感触にカイトは熱い息を吐いた。
乳輪をなぞり、乳頭のわずかなピンポイントのみを刺激する指使いに自然と体の力が抜けてしまう。
カイトが胸からの刺激に夢中になっている隙に、がくぽはカイトの足元を肌蹴させた。
「・・・!これは」
「あっ!だめ!ひゃうっ!!」
カイトの太ももの間から伸びたふわふわの尻尾。
カイトの機嫌に応じて生き物のように反応するそれは紛れもなく猫のものだ。
どうやら異質なのは耳だけではなかったらしい。
興味本位で捕まえて撫でてみる。
「やあああああん!!がく、ら、らめぇぇぇ!!」
触っただけでカイトは身を震わせてのた打ち回った。
まさかこんなに敏感な所だとは思ってもみなかったがくぽもさすがに呆気にとられてしまったが、その驚きはすぐ笑みに変わる。
「そんなにいいのか?ならば、これは・・・?」
「んにゃあぁん!!そんな、らめらよぉ・・・。いじわるしないでぇ・・・!!」
尻尾の曲線をなぞるように指で押さえつけてやれば、盛りの付いた猫のように身悶える。
その反応があまりに愛らしくてもっといじめたくなってしまう。
(これは、実にいい拾い物をしたな・・・)
最初はピコにしてやられた感がぬぐえなかったがくぽだが、今はすっかり気分を良くしている。
勇馬もあれはあれで可愛らしい子だったが、どこか義務的に従っているのは快楽主義のがくぽとしても面白みに欠けたし、いくら優しく扱ってやっても溺れるということがなかったから心から快楽を共有することはなかった。
しかし、その点カイトはがくぽが快楽を与えれば与えるほどそれに返してくれる。
刺激を与えれば与えるほどみだらに、従順に、それでいて愛らしくなっていく。このまま、がくぽが毎日愛し続ければ、京の舞妓や陰間にも負けない逸材になるだろう。
そうなった時を思い描いてがくぽの表情に自然と笑みが広がった。
がくぽはカイトの尻尾を手に、まだ誰も受け入れていないであろう菊座に尻尾を宛がう。
自らが触れる所も稀な部分を尻尾で当てられて、カイトは身を起こした。
「えっ!?な、なに!?」
「じっとしておれ」
「じっとって、僕、そんな、無理・・・、うぁあ!」
暴れたのがいけなかったのか、バタついた尻尾が菊座を激しく刺激してしまう。
ふわふわと気持ちいいのに、いけないところを弄られる背徳的な快楽にカイトは座敷に倒れた。
侘び寂を基調とした座敷にカイトの着物がカイトもろとも広がる。
まるで青い大輪の花がその場に飾られたような光景だった。
カイトが倒れようとがくぽはお構いなしで、カイトの菊座をいじくるのをやめない。
菊座にがくぽの指が入り込むのにさほど時間は要しなかった。
「んっ!・・・んう」
「痛むか?」
「ふ、ううん・・・。いたくないけど、なんか変・・・、気持ちよすぎて、変になりそう・・・」
「そういうことを言うからそなたはずるいよなぁ・・・」
初めてだから優しくしてやろうと決めていたのに、優しくしてやればもっとたくさん欲しいと言う。
もちろんがくぽとしては早くカイトを抱きたい。だが、がくぽのものは常人よりはるかに大きいのだ。それゆえ、情事は尽きないし楽しみも大きいが、時には自らを縛る足かせにもなりうる。
特に、カイトのように快楽に溺れさせたい相手に至ってはじっくり時間をかけて開発したいものだった。
もし、カイトが女だったらがくぽは猛烈にハマっていただろう。
ようやく中もほぐれきって、カイトの中でがくぽの指が三本銜え込むまでになった。
最早カイトの方は意識を飛ばす寸前まで上り詰めている。
がくぽはカイトを抱きかかえると、自分に菊座を突きださせるようにして可愛らしい尻尾の下、カイトの菊座に自身を宛がった。
「ひっ!!」
指とは比べ物にならない質量と熱さにカイトの身が寸の間震える。
その肩を優しく包み込むようにがくぽの手が触れ、絶え間なく跳ねる耳に囁きかけた。
「大丈夫だ。我を信じて、その身を委ねよ」
妙なる低い美声で囁かれて、カイトの腰から一気に力が抜けてしまう。
その隙を逃さず、がくぽは一気に自身をカイトの中に突き入れた。
「あああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
今まで感じたことのない強烈な快楽にカイトは派手に嬌声を上げた。
痛みも中を圧迫される苦しさもあるはずなのに、気が狂いそうな快楽が体の中を爆ぜ回って少しも不快じゃない。
むしろ苦しみさえもが心地よい。
信じられないほどの気持ちよさにカイトは身悶えた。
「・・・良い声で啼いたな。そなたのこの・・・」
「あああああああああん!!」
がくぽのものが納められている下腹部を撫でられてカイトは声を上げた。
外側と内側で腹の皮を挟まれる奇妙な感触のはずなのに、がくぽに与えられる刺激というだけで違和感すらが快楽に変じてしまう。
がくぽはカイトの白い腹を撫でながら続ける。
「傷のない綺麗な皮で、三味線を作ればどれほど妙なる音色が出せるだろうか・・・。試しに鳴らしてみようか・・・」
言いながらがくぽは三味線を奏でるように、指でカイトの首筋の性感帯を抑え、片方の手でカイトの腹を撫で弾く。
「ひ、ああああああああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!」
「おお、よい音じゃ・・・。カイトは良い三味線になれそうだな。だが・・・」
ひとしきり、三味線扱いして啼かせた後、がくぽは体勢を変えてカイトを四つん這いにさせた。
カイトもこの格好には覚えがある。
可愛がっていた猫が春先によその猫とこんな姿勢をしていたのを見たことがあった。
「あ・・・、がく・・・」
「今は、猫として愛でたいものだ・・・」
その言葉を皮切りに、がくぽは勢いづけてカイトの中に自身を打ち付け始めた。
「ああああああああああああああ!!が、がく、ら、らめぇ!気持ちよすぎで、おかしくなるぅぅぅ!!」
抱えられながら抱かれるのとは違い、がくぽの全体重が懸ってくるから勢いも快楽も先程のものとは比べ物にすらならない。
今にも達してしまいそうなのに、それはがくぽが封じているからかなわなかった。
「がっく、お願い・・・、もう、出させてぇ・・・ねえっ!!」
「出させて、ではなくイかせて、であろう。まだそれはならぬ」
「なんでぇ・・・?僕、もう、イきたいのに!!早く良くしてよぉ!!」
泣きじゃくりながら哀願するカイト。
すると、その言葉を肯定するようにカイトの中ががくぽを満足させようと柔らかく締め付ける。
女の陰部にも勝るとも劣らない心地よさにがくぽは寸の間息を詰めた。
だが、今はまだその時ではない。
荒くなった息を抑えながらがくぽはカイトの耳に囁きかける。
「共に達せなくては意味がない。カイトと快楽を共有したいのだ。だから、酷かもしれぬが、しばし我に付き合ってくれ」
「ほんと・・・?」
共有と聞いて、カイトの顔が幸せそうに緩む。
今まで孤独だったカイトにとって誰かと何かを共有することがこれほど嬉しいことはない。
それも、こんなに綺麗で優しい人がしてくれるなんて天にも昇る気分だ。
「がくぽは、僕の事、すき・・・?」
「ああ、惚れた。もう誰にも渡さない。我だけのカイトだ」
「嬉しい・・・」
カイトの表情が恍惚でとろけきったものへ変わる。
それに呼応してカイトの中もこれ以上ない媚壺としてがくぽのものを締め付けた。
さすがに最早限界だった。
「っ!!カイト!!」
「あ!がく、がく!!イイ!!ボク、もう・・・!!っ!!あああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
一際高い嬌声と共に、がくぽがカイトの戒めを解く。
今まで出口をふさがれていた絶頂の証は濁流のように迸る。
そして、カイトがそれを放ったと同時に、がくぽのものもカイトの中に精液を放っていた。
中に納まりきれず、行場を求めた精液はカイトの菊座から太腿を伝って流れ落ちる。
 
 
「これで、そなたは我のものだよ。カイト・・・」

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